ISPS・HANDA CUP・フィランスロピーシニアトーナメント

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第3回(2015年)

秋葉真一が通算11アンダーをマークし、涙のツアー初優勝!

優勝兜を持った秋葉真一

優勝兜を持った秋葉真一

 

シニアルーキーの秋葉真一(50)が、最終日、最終18番で12メートルのバーディーパットを沈める劇的優勝を果たした。通算10アンダーで室田淳(60)増田都彦(50)と並んでいたが、この1打で通算11アンダー205とし、涙のツアー初優勝となった。2位に終わった室田は、獲得賞金を5810万6999円とし、最終戦を欠場する2位崎山武志(52)に抜かれず、3位以下は最終戦に優勝しても届かないため、2年ぶり4度目の賞金王を確定させた。

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第1ラウンド

6アンダーで首位発進した小溝高夫

6アンダーで首位発進した小溝高夫

 

ツアー終盤戦、賞金王争いとともにもう一つの戦い、来季シード権(賞金ランク30位以内)の争いも過熱してきた。賞金ランク42位の小溝高夫(54)が6アンダー66をマークして首位発進した。同41位の秋葉真一(50)が1打差2位につけた。賞金王争いではランクトップの室田淳(60)が4アンダーで4位と好発進したが、約83万円差の2位でこの大会が米チャンピオンズツアー最終予選のため今季最後となる崎山武志(52)は4オーバーの66位と出遅れた。

◇   ◇   ◇

 朝の練習場での会話が、好スコアの引き金になったのかもしれない。

 小溝「知ってるか。賞金ランクでおれが1つ下なんだよな」

 秋葉「じゃ、抜かないでください」

 初シード権獲得を狙う2人。こんな会話をしたのはたぶん偶然だったのだろうが、終わってみればシード権争いを過熱させることになった。

 小溝が雨と寒さの中でたたき出したのは6アンダー。インスタートの12番パー5で5メートルを沈め、13番では左の木に当たって跳ね返るラッキーを生かして連続バーディー。波に乗った。16番では2メートル弱につけ、17番パー3では「8番アイアンで打ったら、OKについたよ」と、前半で4つ伸ばす。後半も「3番でなんでもないフェアウエーからボギーにしたのが痛い」というが、3バーディーを奪った。

 「ドライバーがよかった」のが要因。元々飛ばし屋だが「飛ぶんだけど、曲がってすぐだめになる」というゴルフ。尾崎健夫にシャフトをもらい、一昨日入れ替えてきた。「強烈に飛ぶようになった。20ヤードぐらい伸びたかな。振っても曲がらない安心感がある」と、ドライバーの自信がスコアに直結した形だ。賞金ランク42位(394万1450円)。来季シード権を獲得する賞金ランク30位以内は700万円以上と見られており、この大会で300万円以上上積みするには3位(340万円)以上は必要だ。一緒に行動するジャンボ軍団の東聡から「小溝、ここで一発かけろ。そうじゃないと、シード権取れないぞ」とハッパをかけられて臨んでいる。「ジェット(尾崎健)メシさん(飯合)トンちゃん(東)と一緒に練習ラウンドとか回っていると、下手でもひとりでにうまくなるよね」と、仲間にも恵まれている。「大した腕じゃないし、怖がっちゃだめ。思い切り行きます」と、気を引き締めた。

 2位につけた秋葉は「こんなスコアは初めてです」という67をマークした。「1打勝ったぞ」とホールアウト後、小溝に声をかけられたが、賞金ランクでは41位(402万5291円)で上にいる。ただ、目安になる金額に達するには3位以上が必要と、小溝と同じ立場だ。「7月に50歳になったので、(ツアー)4戦目から出ました。思ったより皆さんうまくて、ちょっと甘かったです」と、3試合少ないハンディはあるが、想像以上のレベルに少し戸惑ったのも確かだ。

 この日はインスタートで12番で6メートルを入れてから4連続バーディー。17番パー3で2メートルにつけ、平均ストロークが最も悪かった難しい18番でも4メートルにつけてバーディーとインを30で折り返した。3番で左OBをたたくダブルボギーにしたが7番で取って踏みとどまった。「(この大会昨年覇者の)加瀬さんを富士フイルムのときにつかまえて、教えてもらった。左が怖くて右に曲がるようになっていたのがあまり逃げないようになった」という。「明日以降も弱気になっちゃだめ。シード権を取りたいです」と意欲を見せた。

 64歳のベテランもシード権へのこだわりは負けてはいない。2002年からひじ痛で落とした2013年を除いて賞金シードを維持している三好隆。現在ランク35位(493万7633円)にいる。「そうなんや。気にしてますよ。シードを落とすとつらいものがある。あと2試合。何とか滑り込みたいんや」という。この日6番から3連続バーディーなど「久々に自分としては上出来」という2アンダーで回った。尿管結石の手術をしてチューブを通している状態で、体調はよくはない。「力みなく打っているのかな」というが、気持ちには力がこもる。

 追われる立場を代表して、シード権ラインの賞金ランク30位(603万5999円)の山本昭一。OB2発を打ち、6番では「フェアウエーからダフって『なんと愚かなことを』って思いましたよ」と振り返ったが、何とか1オーバー38位にこらえた。「レギュラー時代もシード権ギリギリで戦ったことがあるんで、初めての経験ではないんですけど、焦りもありますね。ここ3試合、最終日のバック9で(シード権を決めて)早く楽になりたいと思って失敗した。最後までもつれるんだと思ってやっています。苦しむんだろうけど」。

 下位からの強襲で、シード権争いは見る側にとってはおもしろくなってきた。選手たちにとっては過酷な日々がまだ続く。

第2ラウンド

一発屋といわれてもいいから、優勝を目指す増田都彦

一発屋といわれてもいいから、優勝を目指す増田都彦

 

シニアルーキーの同年代、増田都彦(50)と秋葉真一(50)が通算9アンダーで首位に立った。増田は6バーディー、1ボギーの67、秋葉は6バーディー、2ボギーの68をマークし、最終日は「同級生対決」になった。2打差3位で初日首位の小溝高夫(54)が続いている。賞金ランクトップの室田淳(60)が通算6アンダーの4位につけ、この大会での賞金王確定に大きく前進した。約83万円差のランク2位でこの大会が米チャンピオンズツアー最終予選のため今季最後となる崎山武志(52)と、この大会を含めて2試合連続優勝が必要な渡辺司(58)はともに通算2オーバーで予選を通過し、逆転にかすかな望みを残した。

◇   ◇   ◇

 狭いフェアウエーと池が絡むコース。ビッグスコアをたたき出した選手には、たいていは「幸運なこと」が起こっている。首位に並んだシニアルーキーの2人にも、この日は起きた。

 増田は、開口一番「ラッキーだった」と明かした。3番での出来事を真っ先に話し始めた。「ティーショットを左に引っ掛けたんですけど、カート道に当たって戻ってきてセーフになった。それがよかった」という。6番で80センチについた。8番でも80センチ。9番パー5では残り240ヤードを3番ウッドで2オンに成功した。波に乗れた。11、12番で取り、17番で3パットしたものの、最終18番では第2打を6番アイアンで2メートルにつけてバーディーフィニッシュ。「幸運」を生かした。

 中2のときに円錐角膜を発症し、悪化した1998年に右目の角膜移植手術をした。日常生活なら片方の移植でいいが「ゴルフをやりたくて」と3年空けて左目も手術。両目での生活になるまで7年かかった。右目だけ見えているときに出たレギュラーツアーのKBCオーガスタで17位になったこともある。「でも、それがあったからシニアでやろうと思えた。もし漫然とやっていたら出られなかったと思う」と、病を糧にした。いまも長く裸眼で見ていられないため、サングラスで保護している。

 9月25日に50歳になった。「できれば今年から出たいと思って」と、予選会には出場して、4月の最終予選会で24位になっていた。デビュー戦の日本プロシニアはあっさり予選落ち。レベルの高さを知った。今大会前、父で左打ち選手として活躍した増田光彦プロにレッスンを受けてきた。「球筋を決めろといわれてきました」とアドバイスされたという。「なんとしてもシニア初賞金が欲しいんです」という。それどころか、初優勝も手に入る位置。「そうですよね。チャンスはありますよね。一発屋といわれてもいいから、やりますか。相手は千葉ちゃんだ」と笑った。

 「千葉ちゃんなんていうのはあいつだけです」と秋葉は苦笑いする。「秋葉真一」と「千葉真一」から増田がつけたニックネームだという。「でも、シニアツアーは先輩ばっかり。タメ口で話せるのは同級生ぐらいですから」と、仲間意識はある。この大会の練習ラウンドも増田と一緒に回ったという。この人にも「幸運」が訪れた。パーを重ねて迎えた7番。大きくグリーン手前にショートし「25ヤードぐらいのアプローチをチップインしたんです」と振り返る。9番では右4メートルに2オンし、10番では1メートルにつけるバーディー。こちらも幸運をスコアに結びつけた。

 「レギュラーツアーで勝ったこともないですし、勝ち方も分からない。チャンスなのは分かります。ドキドキしてますけど、ホント、開き直ってます」という。今季賞金ランク41位。3位以上なら来季シード権獲得が見えてくる、「びびらないで、自分で決めたことをやれれば。今日も最後(18番)で気持ちは左の池を逃げないと思っても体が反応して右の木の下に打ってしまった(ボギー)。体が逃げる反応をしないように、球筋を決めて行きたい」。増田が父から受けたアドバイスを同じ考え方でいく。

 この日一番「幸運」に恵まれたのは、賞金ランク30位でシード権獲得のライン上にいる山本昭一かもしれない。上がってくるなり同組の陳志忠から「きょうはこれから馬券を買いに行ったほうがいい」と冷やかされた。他の同組選手も首をかしげて苦笑いしている。本人は「いや、すごかったんです。話、聞いてください」。それではどんなことが? 「17番(パー3)。オナーでさっそうとティグラウンドに上がって、8番アイアン。さっと打ったら見事なシャンク。18番のティーグラウンドの方に飛んでいった。行ったらベアグラウンドの急斜面で池すれすれに木の枝で止まっていた。グリーンまで45ヤードぐらいを見事な距離感、大まぐれとしか言いようがないアプローチで1.5メートルについてパー。いや、昨日からツキがあったけど、これほどとは」。目に浮かぶような説明を一気に話した。4つスコアを伸ばして3アンダー14位まで上がった。

 来季シード権獲得の戦いも佳境に入ってきている。増田は勝てば一発で優勝者としての権利を得られ、秋葉は3位以上、山本はあと100万円ほどで賞金シード権が見えてくる。この日は「幸運」をつかんだ。さて最終日、今度はだれに「幸運」が巡ってくるか、そしてうまくつかめるか。

最終ラウンド

こんなに早く勝てるとは思わなかったと振り返る秋葉真一

こんなに早く勝てるとは思わなかったと振り返る秋葉真一

 

シニアルーキーの秋葉真一(50)が、最終18番で12メートルのバーディーパットを沈める劇的優勝を果たした。通算10アンダーで室田淳(60)増田都彦(50)と並んでいたが、この1打で通算11アンダー205とし、涙のツアー初優勝となった。2位に終わった室田は、獲得賞金を5810万6999円とし、最終戦を欠場する2位崎山武志(52)に抜かれず、3位以下は最終戦に優勝しても届かないため、2年ぶり4度目の賞金王を確定させた。

◇   ◇   ◇

 最終18番で、ドラマが起こった。

 手前12メートルのバーディーパットを残した秋葉。このとき、17番まで通算11アンダーで首位に立っていた室田がボギーとして10アンダーに後退して、首位に並んでいることを知らなかった。「2パットで行けばシード権は確保できると思っていました。どうやって2パットで行こうかと」と振り返る。尾根を上ってから下って「30センチぐらいフックするライン」だった。打って尾根を越えたところでラインに乗っていったことは分かったが「最後はあんまりわからなかった」という。かなり勢いがついたまま、カップに転がり込んだ。ギャラリーのどよめきと拍手。ガッツポーズのあとで、今度は涙がにじんでいた。

 「信じられないです。自分にあんなことができるんだとは」。優勝の実感はわかなかったが、大仕事をやってのけたことはわかった。レギュラー時代は優勝経験がない。首位に立った2日目も「勝ったことがないので、勝ち方も分からない」と話していた。「ガッツポーズはシード権が決まった、と思ったから。そのあとで優勝を知った」という。室田の状況を知らずに、2パットでいいと思っていたのが、逆にドラマを生んだ形。室田は「勝つことは大変と思っている人もいるけど、実は大したことはなくて、スーッと勝つときは勝つ」という。「スーッと」と伸びたバーディーパットがカップに沈み、「知らないうちに」プロ初優勝が手の中に入ってきた。

 2013年1月3日に急逝した佐々木久行さんの後輩。「20歳で伊香保国際に入って研修生になったときに、佐々木さんがプロになって同じゴルフ場に帰ってきた。それからよく面倒を見てもらった。プロになってからは、この人に勝てば自分も優勝できると思っていた存在でした」という。勝ち方を知らない秋葉は「14番ぐらいから、佐々木さんだったらどうするかな、と考えながらプレーしました。モジモジしないで打つんだろなとか。佐々木さんと会話しながらやれば力を貸してくれるかと」と神妙に話した。

 試合は大混戦になった。秋葉に加え、同じシニアルーキーの増田、小溝の最終組3人ともツアー優勝の経験がない。1組前で首位に3打差でスタートした室田が貫禄を見せて、1番で6メートルを沈めるバーディー発進から確実にチャンスを取り、12番で通算11アンダーの首位に立った。秋葉、増田も粘りを見せて、14番でともにバーディーを奪って11アンダーで3人が並んだ。17番で秋葉、増田がともに3パットのボギーで一歩後退。室田は最終18番で右のラフから第2打をミスしてグリーン右手前のラフまでしか行かず、アプローチも3メートルと寄せきれずにボギーにした。ここでまた3人が並んだ。右のラフからグリーンをとらえた秋葉に対して、増田は同じようなところからの第2打がグリーン右の土手にはねてバンカーに入り、しかもクラブを入れるところに土手がせり出すバンカーの縁に止まる不運。増田は1度空振りし、第4打でやっと脱出と、優勝争いから消えた。状況的には室田と秋葉のプレーオフ。室田も準備していた。まさに劇的勝利だった。

 「これまで支えてくれたたくさんの方に感謝したい」と秋葉は話した。務めていた建設会社が19歳のときに倒産して、アルバイトなどをしていたが「中学のころに少しゴルフをやったので」と、群馬の伊香保国際に入った。この20年ほどは「関文グループ」に所属し「ツアーに勝てなかったけど応援してくれて、伸び伸びゴルフをさせてもらってきた」という。「実は今日は息子(真志さん、21歳)の誕生日だったんです」と切り出した。いいことが起こる予感はあった。

 待望の1勝。勝ち方は分かった? 「いえ、全然分からないです」と笑った。「最後のパットも、入れれば優勝と思ったら、ショートしていたかもしれません」と、また笑った。「シニアになって1つ勝ちたいと思っていましたが、こんなに早く勝てるとは思わなかった。今後は、上の人たちと絶えず優勝争いをしたいなと思います」。大きな自信をつけたことは確かなようだ。佐々木さんへのうれしい報告もできる。

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