第85回日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯

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第85回日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯

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第84回(2016年)

激闘プレーオフを制した谷原秀人が日本タイトル初戴冠!

自身2度目となる2週連続優勝で日本プロ初制覇を果たした谷原秀人

自身2度目となる2週連続優勝で日本プロ初制覇を果たした谷原秀人

 

2016年の「第84回日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯」は、北海道クラシックゴルフクラブで開催され、谷原秀人(38)が奇跡的な大逆転で2週連続優勝を果たした。通算22アンダー266で並んだ谷原と武藤俊憲によるプレーオフ。1ホール目で谷原がパーセーブ。左に外した武藤が寄せきれず、ボギーで決着。谷原はツアー通算13勝目で、悲願の日本タイトル初獲得となった。

 

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第1ラウンド

久しぶりの試合で大きく出遅れた石川遼

久しぶりの試合で大きく出遅れた石川遼

 

波乱の初日となった。午前組スタートの武藤俊憲が、9バーディ1ボギーの64をマークし、8アンダーで首位。2位3打差に、宋永漢。大会ホストプロの池田勇太と5カ月ぶりにレギュラーツアーに復帰した石川遼は5オーバー114位タイと出遅れた。

◇   ◇   ◇

久しぶりの試合、厳しいセッティングのコース、ギャラリーの目。日本ツアーで頂点に立った経験者にとっても、甘くはないのだろう。

腰痛のため、2月に米ツアーを離脱して治療をしてきた石川遼が、5カ月ぶりにスタートホールに立った。やはり、ギャラリーは多い。第1打、フェアウエーをとらえた。歓声が沸く。「出だしはよかった。緊張感もありましたけど、ティーショット、セカンドショットもけがをする前よりうまくなっていると思った」と振り返る。腰に負担のかからないスイングに取り組んできた。やってきたことは間違いではなかったと思えた。

しかし、練習と試合では気持ちも体の反応も違う。いい気分でスタートしたが、すぐに11、12番でボギーをたたく。13番では奥のラフに打ち込んだ。「あれは完ぺきなロブショットだった」というアプローチが直接入って、復帰戦初バーディー。これで波に乗るかと思ったが、そうはいかなかった。「パッティングが思ったところに打てていなかった。そのへんが試合を積んで、試合の中で調整していくということですね。アイアンも縦の距離感。飛んだり飛ばなかったりする。新しいスイングで球のスピン量や球の質が変わっているのですが、元のとおりに打ってしまっていた」という。試合を離れるというのは、こういうことなのだろう。15番では1メートルほどのバーディーパットを右カップに蹴られ、80センチほど返しも外して3パットのボギー。そこからバーディーは取れず、歯車を戻せなかった。

前日の公式会見で「ゴルフは1日休むと3日ぐらい後戻りするもの」と話していた。クラブを振り始めたのが4月というので、2カ月以上は休んだだけに、後戻りを取り返すのは大変な作業だ。ただ、試合に出たことでプラス面もあった。「フルスイングしても痛みがなかった。回ってよかったなと思います。今日の5オーバーというスコアに関しては、そういうゴルフだったと思います」と、試合をしたことであらためて分かったこと、納得できることがあった。

伊澤利光にとっては、ツアーの舞台は4年ぶり。石川の比ではないブランクがあった。久々の舞台でのスタートホール。「練習場が良かったんで、安心して、比較的自信を持って打てたと思いますよ。小さな試合をやってきて4試合目なので今日が一番気楽だったかも」と振り返る。10番スタートでパーを3つ重ねた。13番の初ボギーから苦しみが始まった。14番では第1打を左の池に入れてダブルボギー。ボギー、ダブルボギーが止まらなくなる。2番パー3ではトリプルボギー。15ホール目の6番のボギーで13オーバー。2度の賞金王も、ニクラウスの設計、公式戦のセッティングでは、練習場や地元の試合にはないものを求められる。「まだまだ練習不足。変なところで力が入ったりね。風の環境でやったのも久しぶりだし。グリーンを外す機会も多かった。パーを取れなかったり、ボギーを取れなかったり、でした」と振り返った。

それでも、やはり試合に出たからこその充実感もある。8番パー5、残り220ヤードの第2打を3番アイアンで1メートルにつけるイーグルを奪った。「気持ちよかったですねえ」と、笑顔がのぞいた。「一緒に回った時松選手(3アンダー)がいいプレーをしていた。ああいうプレーをしないとアンダーパーは出ない。勉強になったなと思う。(尾崎)直道さんの我慢強さも勉強になりました」。25歳年下と、今年還暦を迎えた12歳年上の同伴者から学べたのも、ツアーの舞台に戻ったからだった。

大きく出遅れた2人だが、2日目は来る。

石川 (久しぶりのギャラリーに)やっぱりこういうところで勝つことを目指していますので、再認識しました。正直、自分のプレーはまだまだだったなと思います。ショットが良くなれば3アンダーぐらいは望める状態かなと思うので、あきらめずにやっていきたい。

伊澤 数字的には悪いけど内容的には悪くない。上がりは良かったので、あのプレーができればパープレーとかでは回れると思いますよ。他のプレーヤーが逃げても、僕はいっちゃう性格なんです。安全にはいけないんですよ。

言葉には出さないが、たぶん「不安」を抱えていたであろう初日を終えて、うまく行っていた時の「気持ち」は取り戻せたようだ。

第2ラウンド

昨年の資格認定プロテスト1位の資格で出場した時松

昨年の資格認定プロテスト1位の資格で出場した時松

 

武藤俊憲が8番でアルバトロスを達成し、この日67で回って通算13アンダー131に伸ばし、首位を守った。6打差で宋永漢(韓国)が続き、2週連続優勝を狙う谷原秀人とマイケル・ヘンドリー(ニュージーランド)が7打差3位につけた。石川遼と、伊澤利光はともに12オーバーで予選落ち。リオデジャネイロ五輪代表を争う池田勇太、片山晋呉、宮里優作も予選落ちした。2オーバー146までの63人が決勝ラウンドに進出した。

◇   ◇   ◇

日本プロに出場するためには、さまざまな資格がある。出場資格の数は18とPGA特別承認者(永久シード選手ほか)の計19ある。過去10年の日本プロ優勝者、過去5年の日本オープン、日本シリーズ、ツアー選手権優勝者、今季のレギュラーツアーシード選手、昨年のこの大会から今大会前週までのレギュラーツアー優勝者…と、いわゆる日本のトッププレーヤーから、昨年のプロテスト1位合格者や日本プロシニア、シニアオープン優勝者、ティーチングプロ選手権優勝者など幅広い「プロ」にも出場資格がある。そうした選手にとっては、日本プロは「晴れ舞台」でもある。また、将来のチャンスを広げる場所でもある。

時松隆光(23)は「昨年のプロテスト1位」の資格で出場した。予選ラウンドの同組は、1位合格者恒例の「好ペアリング」で永久シード選手尾崎直道、2度の賞金王で4年ぶりにツアー復帰戦になった伊澤利光とのラウンド。いつもは人懐こい笑顔の時松も「僕が2日間ピリピリです。でもそれがよかったのかもしれません」と、この日は1つスコアを落としたが通算2アンダーで13位につけた。

「小さいときに、九州の試合で伊澤さんが来ると見に行っていました」という憧れの選手。2日間ともにして「いろいろ勉強になりました。最高の収穫です。伊澤さんのスイングのテンポとか、いいところは真似したいです」と、スコアよりも2人から技を盗むことに必死だった。ツアーでは珍しいベースボール・グリップでプレーする。「5、6歳でゴルフを初めて教わった篠塚さん(武久、九州のトップアマ)がケガをしない、体に優しいスイングということで教わった。ずっとこのグリップです。指を痛めない、腰に負担をかけない」という。

目標は「トップテンに入れれば」という。出場資格に「前年の日本プロ10位以内」がある。まだシード権を持たないため、出場資格を取るのが第一目標なのは当然。そのためには? 「もう、いいか悪いかでいいとおもいます。68か78か、みたいな。派手にやるしかない」と、決勝ラウンドで勝負に出る。

上田諭尉(42)は「過去1年のPGA後援競技優勝者」の資格で出場できた。4月に出身の岐阜県で行われた「岐阜オープンクラシック」を制して「日本プロの予選にエントリーしていたんですけど、資格を先に取れてよかった」という。専大では横田真一の後輩。プロ入り前、横田のキャディーを初めて務めたのが1995年の日本プロだった。「この雰囲気がよくて、プロになったら出られると思ってプロになったようなものです」と笑う。自身の原点の大会でもある。

この日はイーブンパーからスタート。「予選カットは2オーバーと思っていた」という。ただ、大会前にぎっくり腰になって、いつ爆発するか分からない状態。7番でOKバーディーを奪い、11番では2メートルを沈めて一時は1アンダーにしたが「後半からは、パターを構えても腰が痛んで。でも、何とか予選通過したいと思った」と、足を引きずりながらも通算イーブンパーを守り、25位で決勝ラウンドに進んだ。「日本プロですから、どんなことがあってもあと2日やりますよ」と、超音波治療などをしながら上位を目指す。

うまくいった選手だけではない。「ティーチング選手権優勝」の資格で初めてこの大会に出場した内藤裕之(40)。高3で北海道に来て、札幌学院大出身、北海道ジュニア、学生、アマのタイトルを持っている。初日は1オーバーで回ってこの日。インスタートで折り返した11番までに3バーディー、1ボギー。一時は1アンダーまでスコアを伸ばした。「そこまでが出来すぎだったのだろうと思います」と振り返ったように、3番でトリプルボギーをたたき、6、7、9番でボギーと7ホールで6オーバーと予選通過の圏外に。「これが今の自分の実力なのかなと思います」というが、2日間はティーチングプロとしていい勉強になった。「厳しいセッティングで必要とされる技術、何を見につけないといけないかということです。詰めの甘い今日の私のようにならないよう、自滅しない選手をこれから育てて行きたい」。日本プロの経験は引きつがれていく。

平石武則(56)ががっくりとしている。「日本シニアオープン優勝者」の資格で来た。レギュラー時代、何度も出場してきた。それでも「なんか場違いなところに来た感じ」と緊張していた。初日1アンダーで回って落ち着いて迎えたこの日。「打つとこ打つとこ全部左足上がりとか、トラブルばかり。難しいね、こういう日もあるってことです」と80をたたいて予選通過はならなかった。「レギュラーは6年ぶりか。一緒に回った若い選手とは100ヤードも置いてかれる。やっぱりゴルフ人生長いからといって、簡単には予選を通らせてくれへんな」と最後は笑いも出た。シニア専念だったが、若い選手と回って少し気持ちも変わったよう。「あと、日本オープンにも出られる。気合入れてやったる」。若返りの効果も、この大会にはあるようだ。

さまざまな出場資格でプロ日本一を目指す大会。優勝すれば10年出られる。10位に入れば来年出られる。そんな「権利」の争いも見逃せない。

第3ラウンド

多くのギャラリーが見ごたえのあるムービングサタデーを堪能した

多くのギャラリーが見ごたえのあるムービングサタデーを堪能した

 

首位スタートの武藤俊憲が、この日69で回って通算16アンダー200で初日からの首位を守った。2週連続優勝を狙う谷原秀人、宋永漢(韓国)と最終組の3人でバーディー合戦を展開。後半は3人とも5バーディーを奪った。武藤は前日までの貯金を減らしたものの、2人に3打差で初の日本タイトルへ向けた最終日を迎える。

◇   ◇   ◇

見ごたえある「ムービング・サタデー」でも、こんなサタデーはめったにない。3日目の最終組を見たギャラリー、テレビでライブ放送を見たゴルフファンは、ラッキーだ。

序盤、宋、谷原に6打差をつけたスタートした武藤が「バタバタとやらなくてもいいミスを大量にしまして、正直つらかったです」と振り返るように、4番までに3ボギー。5番でようやく初バーディーを奪ったが、前半で2つスコアを落とした武藤に対して、宋が1つ、谷原が2つ伸ばして、3打差で後半に突入した。「前半はのほほーんとしていたのに、勝手に追いついてきて、それを縮められたらいいなと思った」と谷原。いわば、武藤が自滅の形で降りてきてくれた。武藤は「昨日アルバトロスで大騒ぎになって。でも、倉本会長から『私の想定よりスコアが3打いいのは、アルバトロスの分』と言っていたのを思い出して、元に戻っただけと思うようにした」。気持ちの切り替えはうまくいった。

ここからが「プロの意地と技」の連続だった。

まず宋が10、12番でバーディーを奪う。谷原も11、12番の連続バーディーでついていく。尻に火がついた武藤も12番で4メートルを入れて「スイッチが入った」と2打差を死守。

14番で谷原が「ラフだけどライが良かった。やや上りでチャンスだなと思った」という9ヤードのアプローチをチップインバーディー。この時点でついに1打差に迫った。それを見た武藤。右5メートルを入れ返す。

15番ではまた谷原がバーディーで1打差、宋が4メートルを入れて2打差。上がり3ホールに入った。

16番パー5。2メートルにつけた谷原が先にバーディーを奪って通算13アンダー。一瞬、武藤に並んだが、1メートルを入れ返した武藤がまた1打突き放す。こうなると「ギャラリーからは『ナイスバーディー』しか出なくなったよね」と谷原は笑う。

17番パー3、今度は宋が1メートルにつけるファインショット。武藤は2メートルを先に入れ、差を保つ。残り1ホールで武藤15アンダー、谷原13アンダー、宋12アンダー。

最終ホールまでせめぎあいが続く。

「顔を上げたらラインに乗っていた」というカラーから7メートルを放り込んだ武藤はガッツポーズまで飛び出した。歓声の中、宋は「周りのことはあまり気にしないで、しっかり自分を信じて打った」と6メートルを決めた。

おなかいっぱいの後半インでのバーディー合戦は、3人とも5バーディーずつを積み重ね、武藤は通算16アンダー、谷原、宋が13アンダーに伸ばした。相手に負けたくない気持ちが前面に出ると、こんな激しい展開になることをあらためて知らされた。

激闘を終えた3人。

武藤 正直、おもしろかったですよ。2人ともいいプレーをしていたんで、1人だけグズグズしてもしょうがないし。チャンスがくるのを待って、11番で(バーディパットが)手前に止まって打てていないと気づいた。12番から強く打ったら入った。あのへんからスイッチが入りましたね。リードはいくつあってもいいと思ってやっていました。

谷原 おもしろかった? そりゃ、そうでしょうね(笑い)。やっぱり、やっているほうも楽しいですよ。ギャラリーの方々にもいいプレーを見せられて、本当に最高ですよ。負けたくないという気持ちが出ていますし。今日は何でこんないいスコアが伸びたんでしょうね。ハン・リーにしても、藤本にしても。

宋 前半は伸び悩んで、慣れるまで伸ばせなかったイメージがあったんですけど、後半は淡々とフェアウエーに行って、淡々とした流れで3人ともプレーすることができたのではないかと思います。

最終日も同じ3人が最終組で戦う。

谷原 差は半分になったんで。いいショット、いいパットが決まれば(2週連続優勝の)チャンスはあるんじゃないですか。フェアウエーから、というのを最優先にします。

宋 日本のトッププレーヤーと最終組で回れるので、まず学びたい。その中で自分ができる最善を尽くしたい。

結局、アルバトロス分の貯金になった武藤。完全優勝に王手をかけた。

武藤 とにかくたくさんバーディーを取ること。今日のを見たら分かるでしょ。差なんてないです。差がいくつあっても安心できない。一番早いのは5つ、6つ取ること。今日の出だしのバタバタはいい意味で(最終日の)予行演習になったかな。後半を見てもらって分かるように調子はいいんです。

誰が勝っても日本タイトル初制覇。最終日もこんな激戦になれば楽しい。

最終ラウンド

日本タイトルを巡る攻め合いを演じた谷原秀人と武藤俊憲

日本タイトルを巡る攻め合いを演じた谷原秀人と武藤俊憲

 

谷原秀人(38)が奇跡的な大逆転で2週連続優勝を果たした。序盤から武藤俊憲(38)が5連続バーディーで逃げたが、最終組の谷原、宋永漢(24)もバーディーを奪い返して追走。2度の雷雨中断があったが、集中力が切れず、3人は激闘を展開した。18番でボギーにした武藤を、谷原が最後の最後で追いつき、通算22アンダー266でプレーオフに突入。1ホール目で谷原がパーセーブ。左に外した武藤が寄せきれず、ボギーで決着。谷原はツアー通算13勝目で、悲願の初日本タイトルを獲得した。

◇   ◇   ◇

1人が「ゾーンに入る」ことはよくあるが、同じ組の3人が一緒に「ゾーン」に入って、しかも2日間も続くのは、そうそうあることではないだろう。

3日目、3人で22バーディーを奪った。後半だけで15バーディー。一晩寝ても、3人の気持ちもプレーも途切れなかった。3日目前半で少しばたつき、貯金を減らした武藤。谷原、宋に3打差首位でスタートした。前日失敗した1番パー5。フェアウエーからピン左下7メートルに2オンさせる。バーディー発進に付き合ったのが宋。離されない。2番パー3では谷原、宋がバーディーチャンス。左に曲げて12メートルを残した武藤が、マウンド越えのスライスラインを先に放り込む。バーディーに付き合ったのは谷原。下3メートルを入れた。離されない。3番では上1メートルにつけた武藤に対して、谷原がその内側につけ、宋はさらに内側につける。3人ともバーディー。離れない。

ただ、序盤の武藤は「神って」いた。4番では上3メートルを入れ、5番ではバックスピンで戻して30センチにピッタリ。5連続バーディーで突き放しにかかった。前日6番からの3連続と含め、2日がかりの8連続バーディーは記録が残る1999年以降では最多連続バーディータイ、日本タイトルでは新記録になった。

6番ボギーで小休止した武藤だったが、中断をはさんだ中盤も3人のバーディー合戦は止まらない。7番以降、2度目の中断となる13番終了までに、谷原が4つ、武藤、宋が3つ伸ばす。14番で1オンを狙った谷原が池に入れ、同じく狙った武藤がグリーン奥のラフにいれたところで、中断のサイレンが鳴った。この時点で武藤23アンダー、谷原20アンダー、宋18アンダー。まだ分からない。

再開後、池の手前からの第3打、谷原がピン80センチにつけて見事なパーセーブ。武藤も、宋も2打目で寄せてバーディー。集中力が途切れない。このパーセーブで谷原がさらにギアを上げる。16番パー5で武藤が第3打をまさかのグリーンオーバー。アプローチも寄らずボギーにする。23アンダー。それを見た2人。宋は6メートル、谷原が2メートル強を入れる。谷原21アンダー、宋20アンダー。すさまじい戦いになった。谷原は17番でも8メートルを沈めてついに1打差に迫った。宋は取れず、ほぼ届かなくなった。

最終ホール。谷原はフェアウエーに置いた。武藤は左のラフに入れた。先に打った谷原は池を越えたものの手前のラフ。武藤は池の手前にレイアップを選択した。今度は先に打った。ピン左下7メートル。谷原。ピン下1メートルに寄せた。武藤のパーパットがカップ左を通過。パーセーブした谷原が72ホール目で追いついた。最終日、3人で取ったバーディーは26個、2日間で計48個が積み上げられた。もう1つ、プレーオフが残った。

18番での1ホール目。先に打った谷原が右に林に入れる。16番はワンオンを狙った結果だったから、この日初めてと言っていいミスだったが、木の間を抜いた第2打でグリーン手前まで運んだ。武藤はフェアウエー左サイドからグリーン左にいったんはオンさせたが、転がってグリーンをこぼれた。パターで寄せた谷原は1.5メートルショート。同じくパターで寄せた武藤は2メートル強ショート。先に武藤が打ったがカップの縁に止まった。後で打った谷原が決めた。残り4ホールで4打差を追いつき、大逆転のフィナーレ。日本プロの歴史に刻まれる「名勝負」になった。

武藤 僕に運がなかったということです。2回目の中断の後まったく体が動いていなかった。16番の3打目も体が動いていたら問題なかった。そこでしょうね。でも、谷原選手は9アンダー。しゃあないですね。最後も林からグリーンの近くまで出してきている。運がこの試合では谷原選手に味方したということ。最後あれだけバーディーをとった谷原選手がすごかった。内容的には谷原選手が上でしたね。しばらく、休みたいです。

谷原 本当に欲しいタイトルだった。うれしい。武藤選手、ありがとうございました。ほんと、3人の最終組のバーディー合戦。見ていた人も「すげえ、すげえ」といってくれて、盛り上がって、最終的に僕が勝てたのがよかった。(武藤の)最初5連続バーディーで厳しかったけどくじけるわけにはいかなかった。メジャーに勝っていないことで寂しい気持ちがあった。14番で池に入れてこれで終わりかとも思ったけど、あきらめずによかった。

倉本PGA会長 3人のすばらしい戦い。最終組の3人が生き残るのはめったにないこと。すばらしかった。いい試合になりました。

谷原、武藤とも欲しかった初の日本タイトルを巡る稀に見る攻め合い。こんな試合を見られたギャラリーは幸せだった。

 

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