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ディフェンディングチャンピオン石川遼・「未知」の来年に向かって
第88回日本プロゴルフ選手権は新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催順延となり、2021年7月1日から4日までの日程変更が決まった。昨年大会でプレーオフの末に3年ぶりの優勝を果たし、ツアー通算15勝目を飾った石川遼、同大会2度の優勝を挙げている倉本昌弘PGA会長、第85回大会覇者の宮里優作、そして大会舞台の日光カンツリー倶楽部で2003年に行われた日本オープンゴルフ選手権覇者の深堀圭一郎による日本プロゴルフ選手権特別編「BIRDIE for JAPAN」チャリティーマッチが行われた。その模様は今週7月5日(日)の午後3時から同4時25分まで、地上波・日本テレビ系列28局で放送される。大会2連覇を目指す石川がどんなプレーを披露するのか。ホールアウト後、前回大会覇者である石川に近況をインタビューした。
--9ホールのラウンドでしたが、お疲れ様でした。早速ですが、大会が来年開催に順延された心境から話して頂けますか。
石川 とても残念です。新型コロナウイルス感染拡大防止のためですから、正直言って仕方ないことです。未知のウイルスであり、感染力が高く、感染者も少なくない。大会には全国から、海外からも選手が集まるわけですから、パーセンテージ的にはそれほど多くは無くても拡大は避けなければなりません。
--緊急事態宣言が出された期間もありましたが、どのように過ごされていましたか。
石川 体調に気をつけながら、とにかく体は動かし続けるようにしていました。いつ試合が再開されても大丈夫なように、トレーニングに励み、体調管理に努めていました。
--石川選手にとって、昨年の日本プロゴルフ選手権は3年ぶりのツアー優勝であり、日本タイトル2冠目となりました。今年は自身2度目の大会連覇の記録も懸かっていましたが、昨年と今年、そして順延開催となった来年の大会を漢字2文字で表現するとしたら?
石川 昨年大会は……「再生」でしょうか。今年は「残念」です。来年の大会に関しては「未知」ですね。そして、キーワードは「野芝」かな。
というのも、昨年大会の開かれた指宿GCもフェアウエイ芝が野芝だったので、アイアンショットのフィーリングが似ていました。ですから、その戸惑いはなくて済むと今日コースをラウンドして感じました。
--ショットに関しては自信を持って臨めそうなのですね。
石川 しかし、コース設計による「錯覚」との戦いがあります。実際は打ち下ろしのロケーションなのにそう見えないとか…。自然の地形を巧みに生かして設計する井上誠一氏のコースレイアウトは難しいです。フェアウエイでも平らなエリアが少なく、アンジュレーションが無さそうでも実際はあるんです。
--オフシーズンに下見ラウンドをしなかったのですか。
石川 はい。今日初めて日光CCに来たと思っていたのですが、高校時代に一度来たことがあると。コースの方が覚えていらっしゃいました。コースの記憶が薄く、新鮮な気持ちで今日ラウンドしました。
--練習ラウンドを数多くこなした方が、何かと有利になるのではありませんか。
石川 たとえば大会開催週の前週に練習ラウンドをしたとしてもコースコンディションは開催週とは微妙に違って来ます。ですから、今日の(チャリティーマッチでの)感覚を覚えていてもそれほど意味を成しません。寒かったり、雨が降っていたりでのプレーデータは参考データでしかない。先入観はあまり作りたくありません。ツアープロは適応能力が高さも求められると思っています。
--「固定観念は悪であり、先入観は罪である」という格言もありますよね。
石川 実は昨年の(日本プロゴルフ選手権開催コース)指宿GCも初ラウンドでした。練習ラウンドは大雨で回れず、プロアマ大会も中止。すべてぶっつけ本番での本戦ラウンドになりましたが、怖さは感じませんでした。
試合本番でいかにフィーリングを合わせて行けるのか。ショットラインあわせだったり、距離感だったり、パットのタッチだったり。その辺りのフィーリングをアジャストできたなら良いパフォーマンスを発揮できる。その一方で、先ほど言ったコースの錯覚に対してどう対応するかが大切になって来ます。
--来年の大会2連覇に向け、ゴルフファンにメッセージをお願いします。
石川 いつも応援有難う御座います。今年の大会は延期になりましたが、1年後にこの日光CCでお会いできることを楽しみにしています。開催まで一年ありますから、良い準備をして今の自分よりも、もっと上手くなった自分をお見せできるように頑張ります。また、お会いしましょう。
--インタビューに応えて頂き有難う御座いました。2連覇達成を期待しています。
(聞き手・PGAオフィシャルライター 伝昌夫)