第88回日本プロゴルフ選手権大会

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第88回日本プロゴルフ選手権大会

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第87回(2019年)

石川遼がプレーオフを制し、悲願の日本プロ初優勝!

イーグルパットを沈めプレーオフを制した石川が優勝!

イーグルパットを沈めプレーオフを制した石川が優勝!

 

2019年の「第87回日本プロゴルフ選手権大会」は、鹿児島県・いぶすきゴルフクラブ 開聞コースで開催。台風の影響で初日が順延となり、最終日は36ホールで争われるタフな戦いとなった。そんな中、トータル13アンダーで黄重坤とスコアが並んだ石川遼が、プレーオフでイーグルパットを沈め、ツアー通算15勝目をマーク。日本プロ初優勝を果たした。

 

2019年の大会成績はコチラ>>

第1ラウンド

50歳を迎えた藤田が首位タイ!目標にするレギュラー賞金シード

50歳を迎えた藤田が首位タイ!目標にするレギュラー賞金シード

 

降雨のため順延された第1ラウンド。6アンダーで首位に立ったのは、石川遼、藤田寛之、黄重坤(ハンジュンゴン)の3名。1打差の4位タイには今平周吾、時松隆光、近藤智弘ら6名が続く。

◇ ◇ ◇

2018年は50歳の谷口徹がベテランの底力を見せつけ、プレーオフの末に藤本佳則を下して大会最年長優勝を飾っている。

6月16日に50回目の誕生日を迎えた藤田寛之が7バーディー・1ボギー65で回り、大会初日を首位タイで終えた。

インコースからスタートし、12番ホールから1メートル強の距離のバーディーパットを3ホール連続でねじ込み、18番パー5ホールでもバーディーを奪った。この時点で4アンダー。後半も着実にスコアを伸ばす。7番パー4ホールで6つ目のバーディーパットを決め、スコア掲示板で首位に並んだことを確認した。

この日はパー5に設定された8番ホールを迎えた。「できればバーディーチャンスに着けたい」と思って藤田はティーショットに臨んだ。ボールはフェアウエイを捕らえた。2打目はピンまで245ヤードながら打ち上げを考慮すると無理にツーオンを狙うこともない。スリーオンで確実にグリーンキャッチする方が得策だ。藤田はレイアップし、サンドウェッジでの3打目は予想以上にバックスピンが効いてしまい、ピンからボールが遠ざかってしまった。カップ手前8メートルのバーディーパットになるとは想定外の結果だった。だが、その距離のあるパットを一発でねじ込み、7アンダーにスコアを伸ばす。単独首位。

藤田にとっての最終9番パー4ホール。フェースが少し開いてのインパクト。ボールは右方向に打ち出された。フェアウエイ右サイドのバンカーにボールは消えて行った。

「ピンまで170ヤード。前方のバンカーのアゴが高く、それをクリアーできるクラブは9番アイアン。花道まで運んで寄せワンを狙いましたが、寄せ切れず入れ切れずのボギー。それまでは非常に良いゴルフだったんですけどね」。

悪天候続きだったことで、練習日にアウトコース9ホールを回ったにとどまったものの、15年前のカシオワールド以来の18ホールズプレーを「65」でフィニッシュした。「年齢をカバーするためにトレーニングをしたり、ホテルではストレッチやヨガをしたりの努力はしています。レギュラーツアーで通用するポテンシャルを維持するようにしていますが、昔のようには気持ちが続かない。ですから自然体で試合に臨んでいます」と藤田は加齢による肉体と精神の葛藤を吐露した。

視力の低下でボールの行方が見えづらくなったため、黄色のカラーボールを採用した。ヨガは2年前から始めた。それでも対応できないことが少なからずある。「この歳になると日々の体調が良い時もあれば悪い時もある。それを受け入れるようにして、その時の調子に応じてプレーしていますが、今日はショットが安定していましたね」。

初日首位タイ発進もまた想定外だったのか。それは違う。「(賞金)シードを一年でも長く続けたい。優勝を諦めてはいません」と藤田は言い切った。昨年大会覇者・谷口に続く「シニアルーキー」優勝への布石は打たれた。

第2ラウンド

10アンダー首位の北村、一発大逆転のツアー初優勝を目指して

10アンダー首位の北村、一発大逆転のツアー初優勝を目指して

 

第2ラウンドは夏日で多湿という暑さの中、会場には2221人ものギャラリーが来場し、選手にエールを送った。通算10アンダーで首位に立ったのは、北村晃一、石川遼、黄重坤(ハンジュンゴン)の3人。1打差9アンダー4位には、ショーン・ノリス。さらに1打差8アンダー5位に、重永亜斗夢、時松隆光、星野陸也、松原大輔の4人が続く。通算1アンダー141ストローク59位までの73名が、決勝ラウンドに進出した。

◇ ◇ ◇

通算5アンダー・4位タイからスタートした北村晃一が、首位タイに躍り出た。1番ホールでのバーディー後、4番、6番のいずれもパー3ホールでバーディーを奪取。8番パー5ホールでこの日唯一のボギーを打ったが、その後もスコアを順調に伸ばし、通算9アンダーで最終18番パー5ホールを迎えたのだった。

北村自身にとって2019年ツアー開幕戦。18年7月のPGA後援競技「北陸オープン」でプレーオフの末に谷昭範を下して優勝したことで、今大会の出場権を得ていたのだ。

5月には練習ラウンドにコースへ足を運んだ。「1日目は雨風が強く、それでも何とか回りましたが、翌日は途中で止めました」。完璧な練習ラウンドとは到底言えないものの、コースを回れたことで大会に懸ける思いは強まった。

第1ラウンドはノーボギーで回り切った。第2ラウンドでもボギーのピンチがあったが「1.5から2メートルくらいの距離のパットが全部入ってくれました。バーディーもパーパットも、です。本当にそれ(パットが入る)だけです。ショットは不安要素が多い」。北村は好成績の要因を自分なりにそう分析している。

19年のツアー出場優先順位は205位。下部ツアーには参戦している(7月6日時点で賞金ランキング17位)。一方で、さらなる高みを求めてスイング改造に取り組んでいる。「手を使わずフットワークで打つ」イメージだという。

バーディー奪取で首位に並べるチャンスで迎えた18番ホール。ティーショットは左方向へ飛んで行った。スイング改造が「形になって来ている」感触を得ていた矢先のミスショット。修正したいと思っていた悪い癖が最後の最後で顔を覗かせてのミスショットだったのだ。

2打目はピンまで220ヤード。5番ウッドで放ったものの、ボールはまたしても左方向へ飛んで行く。「捕まり過ぎたとは思いました。OBにさえならなければ」の思いは通じ、グリーン左手前50ヤード付近でボールは見つかった。「ピンさえ見えない打ち上げのリカバリーショット。グリーンの真ん中くらいへ打てば何とかなる」。北村はサンドウエッジをスパッと振り抜いた。ギャラリースタンドから「ワアーッ」という大きな歓声が上がる。「ピンには近づいたな、と思ってグリーンサイドを駆け上がりました」。ボールはピンに寄り添うように止まっていた。起死回生の一打でバーディーフィニッシュ。北村は冷や汗を快汗に変えて、グリーンを降りることが出来た。

6バーディー・1ボギー65。通算10アンダー・首位タイ。北村は最終日最終組で明日の36ホールズプレーに挑む。最終日最終組は自身初だ。

「スイングの悪い癖が出て当然です。暑さには強いと思っています。高校野球部時代は夏が本番でしたし、グラウンドに比べたらゴルフ場は涼しい。でも、精神的なスタミナが持つかな…。優勝の自信?それは全くありませんが、頭の中をクリアーにして、打ち急いだり、パニックになったりすることがなければ、今の調子ならある程度のスコアを出せるかなという自信はあります」。北村は自分に言い聞かせるように、そう言い切った。

神奈川県の桐光学園高校時代に2度、甲子園の土を踏んだ。ベンチ入りもした。だがレギュラー選手ではなく、セカンドの守備固め選手としてだった。バッターボックスに立つことはなかった。明日、北村は首位タイとして、優勝に最も近い順位でスタートティーに立つ。一発大逆転のツアー初優勝を目指して――。

第3・最終ラウンド

第87代目プロ日本一のタイトルを手に快哉を叫んだ石川遼

第87代目プロ日本一のタイトルを手に快哉を叫んだ石川遼

 

石川遼が、開聞岳の麓で、快哉を叫んだ――。

黄重坤とともに通算13アンダーで72ホール目をホールアウトした石川は、スコアカードを提出すると、18番パー5ホールのグリーン花道に用意されたカートに乗り、18番ティーへ向かった。

プロ日本一を決める日本プロゴルフ選手権は、前年に続いて、プレーオフ決戦となった。

4年前の2015年。カシオワールドオープンで石川は最終日単独首位スタートだったが、黄に逆転負けを喫している。「(黄)重坤はショットが曲がらない。2打目が同じ条件なら勝てないかも知れない」と石川はプレーオフ1ホール目のティーショットを打つ前にそう思ったという。

ドライバーショットでアドバンテージを取るしかない。黄よりも飛距離が出る分だけ、ラフに捕まったり、フェアウエイ右サイドのペナルティーエリアに打ち込んだりする危険性もある。しかし、これまで練習して来た成果をこの勝負の場面で発揮するしかない。むしろ、そのために何千球、何万球ものボールを打ち、ドライバーを振って来たのだ。ミクロ単位で積み重ねて来た自信を緊張する場面でさらに深めるチャンスにもなる。成功体験を増やして行きたい。不安が無かったわけでないし、緊張感に襲われてもいた。

それでも石川はドローボールでフェアウエイを捕らえるショットイメージを持って、フェアウエイ右サイド方向へアドレスを取った。無心のスイング。練習に練習を積み重ねて来たことによって「気持ち良くスイングした中にボールがある感覚」で打てた。

だが、フェアウエイ右サイドのカート道方向へ飛んで行った。右に跳ねたなら大ピンチとなる。ボールは、ラッキーキックで左へ跳ね、前方のフェアウエイ中央へと転がり出たのだった。

「(本戦72ホール目のティーショットよりも)40ヤードは前にありました。2打目はピンまで200ヤード。風向きはアゲンスト。5番アイアンで打ちました」。グリーンをキャッチし、ボールはピン奥4メートルに止まった。イーグルチャンス。

黄はツーオンしたものの、グリーンの右に乗っただけで、ピンまでは10メートル以上もあるイーグルパットはカップ1メートルに寄せるに留まった。

4メートルのパットをねじ込んだなら、それがウイニングパットになる石川のイーグルパット。「今まで一番興奮したかも知れません」――。

最終日第3、第4ラウンドを一日36ホールで行う長丁場となった。その第3ラウンドを通算10アンダー・首位タイでスタートした石川はバーディー2つを先行させたものの、4番パー3ホールのボギーでつまずくと、5番パー5、6番パー3ホールで連続ダブルボギーを叩き、首位争いから大きく後退した。一時は首位と7打差も開いてしまったのだった。速報版が目に入った。「こんなに酷い流れで、あと20ホールもプレーするのか。落ちるところまで落ちるかも知れない」思いが頭をかすめる。気持ちのモチベーションが落ちかけた時に客観視する自分がいた。「流れの悪さが原因ではない。ボギーもダブルボギーも、良いショットを打っていないからだ。昨日も一昨日も、先週だって良いショットは打てていた。スイングを、ショットを取り戻したなら」の志向が働いた。2ホールを掛けて修正に成功し、石川は上がり3ホール連続バーディーで息を吹き返し、第3ラウンドを1オーバー71にまとめ上げ、首位と4打差の6位タイで終えていた。

組み替えなしで第4ラウンドをスタート。最終組同組の黄は相変わらず安定したプレーを続けてはいたが、スコアを伸ばせずにいた。さらには「まったく隙を見せない重坤でしたが、パー3ホールでショートしていたので、まだ(追いつく)チャンスがあるかも知れない」と石川は感じていた。

この日35ホール目となる17番パー3ホール。黄のティーショット。一旦はグリーン上に止まりかけたように見えたが、ボールはコロコロと左手前方向へ転がり出し、そして波紋を描いた。ボギーパットを外し、痛恨のダブルボギー。このホールをパーとした石川と首位に並ぶ結果となったのだった。本戦の36ホール目は互いにバーディーフィニッシュとしてのプレーオフ決戦。その1ホール目に石川が逆転優勝のチャンスを引き寄せたのだった。

「今までは自分が読んだパットラインを信じて打ったことがあまりありませんでしたが、今回だけは信じて打ちました」。

スムーズに転がり始めたボールはカップ手前で読み通りに曲がり始め、カップの中へと消えた。石川は両手を高々と挙げて万歳し、そして右手拳を突き上げ、最後は両拳を握りしめて何度も何度も快哉を叫んだのだった。ツアー通算15勝目を日本最古のプロゴルフトーナメント「日本プロゴルフ選手権」で飾ったのだ。

「日本プロで勝つ日がこんなに早く来るとは…」。自分を支え、サポートし続けて来てくれたスタッフたちの姿を目にした瞬間、石川の目から大粒の涙が溢れ出した。

タフでなければ心身ともに強くなければ勝ち取れない第87代目の、プロ日本一の称号をついに手にした瞬間、開聞岳に石川の歓喜の声が木霊したのだった。

 

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