第58回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ

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第58回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ

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第53回(2014年)

激闘のプレーオフを制した尾崎直道がシニア3勝目

PGA倉本会長から尾崎直道へ優勝杯が渡された

PGA倉本会長から尾崎直道へ優勝杯が渡された

 

「第53回日本プロゴルフシニア選手権 住友商事・サミットカップ」は、最終日最終組でプレーした渡辺司(57)、尾崎直道(58)、室田淳(59)は、白熱したタイトル争いを繰り広げ、3人によるプレーオフ決戦へ。3ホール目で室田が脱落。4ホール目で尾崎がバーディパットを決めて、シニアツアー2年ぶり3度目の優勝で、第53代日本プロシニアチャンピオンの座についた。

2014年の大会成績はコチラ>>

第1ラウンド

ミスした後にどうするかが僕の課題とルーキー福澤

ミスした後にどうするかが僕の課題とルーキー福澤

 

 今年シニアデビューした「新人」が上位に顔を出した。レギュラーツアー1勝の福澤義光(50)がボギーなしの5アンダー67をマークして2位につけた。この大会がシニアデビュー戦となった上出裕也(50)、原田三夫(50)が4アンダーで7位発進。故杉原輝雄さんの長男、杉原敏一(50)が3アンダーで15位につけるなど、大会初出場組が健闘している。佐藤剛平(58)が6アンダーをマークして首位に立ち、アンダーパーが48人と、混戦模様の幕開けになった。

◇   ◇   ◇

 シニアの「若者たち」が活きのいいところをみせた。

 福澤義光が「この日一番のホール」に挙げたのがインスタートで折り返した5番だった。そこまで5つのバーディー。残り150ヤードの第2打を「大ダフリしてしまった」といい、第3打も3メートルのパーパットを残した。「自分の悪いところは、ミスが続くこと。いいホールと悪いホールがはっきりしてしまう。ミスした後にどうするかが僕の課題なんです。その意味で5番のパーパットを決められたのが、今日一番の満足でした」という。そのまま、ボギーなしで回った。

 昨年11月23日に50歳となり、今季からシニアツアー入りした。これまで6試合を戦っているが、自らの課題のせいもあって「20位台ばっかり(4回)。気持ちでやるタイプなんですが、思い切りやったというミスじゃないところでスコアが悪い。自分ができることを、できたことがない」と振り返る。初出場のこの大会、スタート10番で1.5メートルのバーディーパットを入れ、「思い通りのパットが入って、とりあえず落ち着いた」という。レギュラーツアーでは2001年タマノイ酢よみうりオープンで勝利を挙げている。40代になって得意のパットで「手がスムーズに動かなくなった」というが、試合勘を失わないようにQTを受け続け、270ヤードのドライバー飛距離を落とさずにシニアを迎えた。「ここはアンダーパーが出るコース。今日ぐらいの合格点のゴルフを続けたい」と話した。

 今季デビュー戦でいきなり優勝争いして2位となるなど、現在賞金ランク22位で来季シード権をほぼ手中に収めている杉原の活躍に、刺激されているのが上出と原田。上出はこの試合がデビュー戦でもある。

 「シニア開幕です。メチャメチャ、緊張しました。何が何だか、わからなかった」と、68で回った一日を振り返る。シニア入りに備えて4、5年前からトレーナーについて体幹を鍛えてきた。4月のシニア最終予選会で14位となり、ツアー出場権は得ていたが、9月23日にやっと50歳。「待ちに待ちすぎて、期待に胸を膨らませすぎて、先に杉原がシード権を取りそうなんで自分にプレッシャーをかけすぎて」と、この試合を待ち焦がれていた。

 その1日。インスタートの15番で4メートルを沈め、16番では「完ぺきだった」と第2打を2メートルにつける連続バーディー。5番で5メートル、7番では「OKでした」と、4バーディー。シニア初ラウンドでボギーをたたかなかった。「結果的には良かったんですけど、ロングで取れなかったし」と、反省も。「ペースもなんにもわからないので、1ホール1ホール、頑張ります」と話した。

 同じく4アンダーの原田は「杉原、上出と練習ラウンドを一緒にやった。杉原がほぼシードは決まりだし、先を越されたので、この大会ではなんとか1日だけでも(ボードに)名前が出るようにしたいと思っていた」という。インスタートの11番で右下18メートルのロングパットを沈めて初バーディー。2番からの4連続など一時は6アンダーにスコアを伸ばした。悔いが残るのは8番。「実は右ひざに痛みがあって、力をいれんようにやっていたんですけど、距離があるホール(435ヤード)なんで力が入ってしまって、右に曲げてしまった」と、ダブルボギーにした。

 レギュラーでは1997年つるやオープンで1勝している。「ショットはもともと下手なんで、パターだけでつないできた。シニアになっていいゴルフができるように、QTには出ていた」という。1年前からジム通いもはじめ、1月15日に50歳。「待ちに待った」参戦になった。「このコースはいやらしい感じがしないので、僕ぐらいでも頑張れそうです」と、2日目以降も「楽しみ」という。

 シニア同期生の目標になった杉原。3アンダーとまずまずのスタートになった。「ギャラリーが今日は少なかったので、1番で手が震えずにティーアップできました」と笑い「2.5メートルのバーディーが入ったので、思い切っていけると思った」と振り返る。16番で2メートル、17、18番で1メートルを沈める3連続バーディーで上がり「気分は最高」とまた笑った。

 父はこの大会に3度優勝している。「レギュラー時代の借金を返済していきたい。父にはだいぶ借りているから」と、真顔で言う。「同じカップに名前を刻めるというのは、記録になると思うので。でも、父がとっていない大会をとってみたいとも思います」と、シニア4戦目で自信がついてきた様子だ。

 混戦模様で始まった。「若手」の活躍が先輩たちの闘志に火をつければ、大会はますますヒートアップしてくる。

第2ラウンド

単独首位に立ったシニアデビュー戦の上出裕也

単独首位に立ったシニアデビュー戦の上出裕也

 

 3打差に19人がひしめく大混戦になった。この大会がシニアツアーデビュー戦となる上出裕也(50)が、最終18番でイーグルを決めて67で回り、通算9アンダー135で首位に立った。1打差2位で白石達也(52)、清水洋一(51)、グレゴリー・マイヤー(53=米国)が追っている。2打差5位に福澤義光(50)ら5人、3打差10位には倉本昌弘(59)、尾崎直道(58)、井戸木鴻樹(52)ら10人がつけている。昨年覇者の渡辺司(57)、中嶋常幸(59)、室田淳(59)らは5打差26位。青木功(72)は84位で予選落ちした。

◇   ◇   ◇

 青木功のプロ50年は別格としても、シニアともなれば長年の「勤続疲労」で、みんなどこかに痛みや違和感、病気などを抱えている。そんな中でも、シニアプロ日本一を争う公式戦。「痛い痒い(かゆい)」は言っていられない。

 酸素ボンベをカートに積んでプレーしているのは、この日66のベストスコアを叩き出し、一気に10位に浮上した高島康彰だ。9月初めに血栓が飛んで肺に入り、一時はICU(集中治療室)に入った。この大会には酸素ボンベ2本を常に携帯し、酸素吸入しながらラウンドしている。「ティーグラウンドを上るときとかに、吸ってから上がっているんです」という。そんな状態でも、ゴルフは好調だった。前半は「外しまくって」6番の1メートルのバーディーのみだったが、後半爆発。10番を取り、14番から5ホールで4バーディーを量産した。最終18番パー5では第2打でグリーンエッジまで運び、OKバーディーで締めた。

 昨年のこの大会前にシニア入り。レギュラーツアーではシード権を1度(2006年)つかんだが、左肩を痛めて「2年ぐらい治療して、試合からは7、8年離れた」という。現在は、医療関係会社のM.Vサンマリンに所属。「薬に困ることはない」と笑う。「コースが自分に合っているような気がします。残り試合も少ないし、少しでも上に行きたい」と、意気込んでいる。

 2位グループにつけた白石達也、清水洋一は、この大会直前にヒヤリとした。

 白石は満を持して5日(日)に現地入り。台風18号で回れなかった6日の夜、「寝ていて、物を取ろうとしたら、腰がピリッと来てまったく動かなくなってしまった」という。痛くて眠れず、会場近くの友人に来てもらってストレッチなどを行い「内ももの張りを取ったら楽になった」という。この日はインスタート10番でボギー発進。バーディーも出るが、ボギーも出るという6バーディー、3ボギーながら8アンダーにスコアを伸ばした。クラブハウスに飾られている優勝カップを見て「公式戦ですから、すごい先輩方の名前が刻まれている。2日間終わってほっとしていますけど、なんとかね」と、その中に加わりたい。

 清水は初日のラウンド中に思わぬアクシデント。「17番のティーグラウンドを下りるときに芝に引っかかって転びそうになって、踏ん張ったら左足首に体重がかかってしまって」と、この日は痛み止めを飲み、テーピングを施してのラウンド。「それがよかったということにしてください」と、6バーディー、ボギーなしの66で回った。インスタートの7番で10メートルを決めるなど上がり3ホール連続バーディー。「去年は初出場で2日間3パット5回、4パット1回で予選落ち。今年はパットの距離感があっているみたいです」と、違いを挙げる。「公式戦ですし、一緒に回るのがすごい方だと、自分の精神状態が(決勝ラウンドで)どうなるかわかりません。やってみないことには」と、優勝争いにはちょっと不安らしい。

 5位グループにも病気やケガと付き合っている選手がいる。

 水巻善典は、今年の日本プロで「若い選手と一緒に回って、気持ちよく振っていたら首を痛めてしまってね。首のヘルニアなんですけど、痛くてゴルフができなかった」という。そのため、いまも「振れなくて合わせに行ってしまうような感じ」というが、1番でOKバーディーを奪い、69でスコアを伸ばした。「イメージが出てきましたね。パットが特別入るわけではないんですけど。まあ、みんなの顔を見て、前後を見ながら『あー、外したー』とか言いながら楽しくやってますよ。どうせ、僕のスコアはこのぐらい。あとは周りの人がどんなスコアを出すかどうかですね」と、水巻らしい自然体のゴルフに徹している。

 白浜育男は昨年、原因不明の眼底出血で左目の視力が低下した。「当時は右と左の視力が違うんで距離感が全く合わなくて、50ヤードのショットとかが全然ダメだった。いまは80パーセントぐらい回復している」という。一時はサングラスなしではラウンドできなかったが「曇りや雨の時は外せるようになった」と、回復を実感している。それがゴルフにも現れてきている。「今日はあまりパットが良くなかった」と、後半は1番で80センチを決めて以降はパーオンしながらも決めきれず。それでも69と伸ばして首位と2打差にしている。「最終日は最終組で回りたい。そのために(3日目)頑張るよ」と、勝ち負けを言葉にできるようになった。

 ゴルフとは別のところでも戦っているシニアプロたちのプレー。そんなところにも見る価値は十分ある。

第3ラウンド

マングースにヤマカガシが挑むぞ!と渡辺司

マングースにヤマカガシが挑むぞ!と渡辺司

 

 昨年の優勝争い再現の様相になってきた。4アンダー26位から出た昨年覇者の渡辺司(57)が6番から4連続バーディーなど、8アンダー64のビッグスコアをマークし、通算12アンダー204で一気に首位に立ち、2連覇に王手をかけた。同じく26位から出た昨年プレーオフ負けの室田淳(59)も7アンダー65で通算11アンダーとし、尾崎直道(58)、ポール・ウェセリン(53=英国)とともに通算11アンダーで1打差2位につけた。「シニアプロ日本一」を決めるにふさわしく、上位に実力者が顔をそろえた。

◇   ◇   ◇

 マングース対マムシ対ヤマカガシ?

 昨年覇者、渡辺がすごい勢いでバーディーを量産した。2、3番連続バーディーで序盤からチャージ開始。6番で1.5メートルを沈め、7番では8ヤードのチップインなど9番まで4連続バーディーで、アウト30で回った。4アンダースタートから一気にトップグループの8アンダーに。後半は「3メートル以内を外しっぱなし」と嘆いたが、2つのバーディーをものにして64をマーク。一気に首位に立った。

 昨年は2日目に同じく64をたたき出し、逃げ切り濃厚の最終日に室田の急追でプレーオフに持ち込まれたが、最後は振り切った。

 「運をその時に全部使ってしまったので、今年は自分の力で行くしかない」というが、渡辺のすぐ前に組の「あの人」が「やっぱり、そばにいらっしゃいました」と笑った。

 「あの人」とは室田のこと。インに入って、昨年、残り4ホールで5打差を追いついた最終日のVTRを見るようなバーディーラッシュ。13番で「よく入った」という難しい5メートルを決め、14番で1メートル、16番で2メートル、最終18番パー5では2オンに成功し、6ホールで4バーディー。11アンダーに伸ばした。1オーバー68位と出遅れた初日の最終18番から37ホールボギーなしの快進撃を続けている。

 「アイアンをきのう替えた。というか、3、4年使っているのに戻した。もう歳だから軽いほうがいいかと思ってシャフトを軽くしたのを使っていたんだけど、飛びすぎて僕の距離感になっていない」という。慣れたアイアンがスコアを蘇らせた。「なべちゃん(渡辺)がまた爆発している。オレの天敵だね。去年負けたし、日本シニアオープン(2009年)でも逆転されたしさ。口もうまいけど、ゴルフもうまいよね」とニヤリ。「2日続けては難しいかもしれないけど、責任は果たしたし、最終日はいい試合をして盛り上げたいね」といつものように、おとぼけも出る。「ところで、なおちゃん(尾崎直道)どうした?」。その時点では8アンダーだったが「明日はなおちゃんとも勝負だな」と、またニヤリ。

 その「なおちゃん」は、必死に自分を立て直していた。1、3番で幸先いいバーディーを奪い、さあという時の5番。右ラフに入れたが排水口があってドロップしたがセミラフに。「ラフの方が良かったよ。フライヤーするかしないかを気にしすぎた」と、右のバンカーに入れ、集中しきれないまま3打目をホームラン。4打目も寄らず、まさかのダブルボギーにした。「がっかりだったよ。(気持ちが)折れかかったけど、もうちょっと頑張って行こうと思った」という。8番で6メートルのバーディーパットが決まり、追撃を再開した。9番を取り、終盤は15番から4ホールで3バーディー。室田の予想通り、通算11アンダーで最終組に名を連ねた。

 レギュラー時代「マムシの直道」と呼ばれた。勝負どころでは絶対に逃さない強さには定評があった。そんな「マムシ」を思い出させるナイスカムバック。「おもしろくなってよかったね。明日は自分のコントロールだな」と、意欲も蘇ってきた。「室田さんはレギュラーでも成績がいいし、状態がいいのは分かっているけど、1日勝負でどう転ぶかわからない。司(渡辺)は去年の勝者で侮れない。ミスはできないだろね」と、久々に表情が引き締まってきた。

 2人に追いかけられる立場の渡辺。「室田さんこそ、全選手の天敵だよ。いや、選手にはいろんな蛇がいるから、室田さんはマングース。マムシ(尾崎直道)もいるけど、僕はヤマカガシ(毒蛇の一種)。マングースしか見ないで戦いたい。どうせ実力は天と高層ビルぐらいの違いがあるんだから、相手にとって不足は一切ない」。

 さて、最終日の最終組。どんな「戦いぶり」をみせてくれるだろうか。

最終ラウンド

シニアで新たに大きなタイトルを手にした尾崎直道

シニアで新たに大きなタイトルを手にした尾崎直道

 

 尾崎直道(58)が、渡辺司(57)室田淳(59)との4ホールにわたるプレーオフを制して、シニア公式戦初優勝を果たした。通算15アンダー273で最終組を回った3人でプレーオフに突入。3ホール目に室田が脱落し、4ホール目で尾崎直がバーディーを奪い、決着した。賞金王に輝いた2012年にコマツオープンで優勝して以来、シニアツアー3勝目。レギュラーでは日本プロ1勝、日本オープン2勝など日本タイトル7勝を挙げており、シニアになって新たに大きなタイトルを手にした。

◇   ◇   ◇

 いつ終わるのか、見えない戦い。18番パー5で行われたプレーオフが決着するまで、4ホールかかった。

 通算15アンダーで尾崎直、渡辺、室田が並んだ。渡辺、室田は2年連続のプレーオフ。1ホール目は3人ともパーで、2ホール目に進んだ。

 ピンチを迎えたのは、尾崎直。第1打を左の斜面に打ち込み、うまくフックをかけたが左ラフ、80ヤードほど残った。第3打はピン上5メートル。渡辺が2メートル、2オンした室田は50センチに寄せて、パット勝負。「よく入ったと思いますよ。もうバーディーを取るしかなかったからね。普通なら、僕と司が外して室田さんの優勝、でしょ。あれで、勝つには最後は運しかないと思った」と振り返るバーディーをねじ込んで、大きなため息をついた。渡辺も入れ、室田は難なく沈めた。3人バーディーで次へ。プレーオフで2回使ったグリーン右奥のカップを右手前に切り直し、ティーグラウンドを前に出して3ホール目に入った。

 危なげなかった室田にミスが出る。第1打を左斜面に曲げた。尾崎直、渡辺はフェアウエーをとらえる。フェアウエーに出した室田の第3打はピン手前3メートル。第2打で左バンカーに入れた尾崎直が絶妙のショットで2メートルに付け、右ラフからアプローチした渡辺が1メートル。またもパット勝負。先に室田のパットが右に切れた。沈めた2人が残った。いよいよ4ホール目。すでに1時間近く経っていた。

 尾崎直にチャンスが生まれる。ともにフェアウエーからの第2打は、渡辺が4ホール連続でグリーン右のラフに打ったのに対し、尾崎直はピン手前に2オン。2メートルと寄せきれなかった渡辺、50センチに寄せた尾崎直。渡辺のバーディーパットが外れても、尾崎直は顔色を変えなかった。ウイニングパットを沈めても、むしろ顔は引きつっていた。この大会、記録が残る94年以降では最長のプレーオフを制した。

 尾崎直は「司ちゃんが外したけど『あー、終わった』って感じだった。実感がわかなくて、明日になったら。いいゴルフができなかったなあ。残念だな。2人(渡辺、室田)に悪いなと。おれが一番内容が悪かった。俺が来るとは思わなかったんじゃないかな」。

 正規の18ホールで、最終組の中で確かに尾崎直は苦しんだ。序盤5ホールで3つバーディーの室田が抜け出す。2つ前の組の水巻が猛チャージで一時は15アンダーで首位に立つ。それでも最終組の3人が主役を渡さなかった。折り返した後半は渡辺が昨年覇者の意地を見せて3バーディーを奪う。尾崎直は…2番で4メートルを沈めたが、以後は苦しいパーセーブでしのぐ。「カッコつけていられない」と、5、8番ではグリーン周りからパターで必死の寄せワン。それでも後半にチャンスを確実に決める3バーディー。終わってみれば3人が並んでいた。後半は、最終組がボギーなしの「つばぜり合い」を演じた。

 尾崎直は「粘りの一言だった。前半、室田さんがスーッ、スーッと行くし。最後まで食いついていかないと、と思った。折れずしのいだ。相手は嫌なパーだったんだろうな。最後はあんな形になるとは思わなかった」。

 「マムシ」と呼ばれたレギュラー時代のスタイルそのものだった。食らいついたら、粘って、相手にプレッシャーを与えていく。

 室田「いつものことで、弱いね、プレーオフ。見ての通り。勝者をたたえてよ。マムシがやっぱり一番強いよ。マングースはかなわない」。

 渡辺「ホントですよ。ヤマカガシじゃ無理。勝った直道さんがすばらしい。優勝に対する、何としてでもっていう気持ちを持っていかないとダメですね。(プレーオフの)最後のパットはだらしないパットをしたくないという気持ちが勝って、ちょうどいいラインに体が向いているのに強く打ってしまったなあ。爽やかな負けではないけど、悲壮感のある負けではなかった」。

 尾崎直にとって賞金王の年以来、2年ぶりの勝利。昨年はレギュラーツアーで打ちのめされたこともあって「もう無理だなと思っていた。つまらない1年を送った」と、気持ちも奮い立たせられなかった。今年は8月からクラブ契約先が変わり、ブランドのイメージキャラクターになった。「プレッシャー半分、うれしさ半分。でも、広告で自分の顔が出るのを見たりすると『やんなきゃなあ』と刺激になった。クラブ自体も気に入っている。のんびりやろうと思ったけど、やっぱり走り続けるしかない」と、会見ではちょっと笑顔も出た。

 賞金ランク3位(2160万5166円)に浮上。1位奥田とは17万円ほどしか差はない。「シニアはレギュラーのおまけだと思っているけど、おまけが本体に勝つことだってよくあるでしょ。(レギュラーの)若い子もまだ名前が出てきていないから、できるだけ(ゴルフ界を)引っ張っていこうと思う。前の試合でジェット(尾崎健夫)が勝って兄弟で2試合連続優勝できたし、シニアもおもしろいと感じてもらいたいね」。

 どうやら、再び輝きを取り戻したようだ。

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