第60回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ

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第60回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ

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第59回(2020年)

中山正芳がプレーオフを制し、ツアー初Vを日本タイトルで飾る!

中山正芳が嬉しいツアー初優勝を達成!

中山正芳が嬉しいツアー初優勝を達成!

 

「第59回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ」は最終ラウンド、2位タイスタートの中山正芳(52)、清水洋一(57)が通算9アンダーで並び、プレーオフに突入。1ホール目をボギーとした清水に対して、パーパットを決めた中山が嬉しいシニアツアー初優勝を遂げた。初日から首位を守っていた比嘉勉(57)は5アンダー4位タイで大会を終えた。

 

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第1ラウンド

比嘉勉がノーボギー5アンダーで首位発進

比嘉勉がノーボギー5アンダーで首位発進

 

「日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ」の第1ラウンドは、比嘉勉(57)が5バーディーノーボギーの5アンダーで単独首位スタート。1打差の2位に溝口英二(55)、2アンダー3位タイには深堀圭一郎(51)、桑原克典(51)、張本茂(53)が続く展開となった。前年覇者の白潟英純(54)はイーブンパーの12位タイで初日を終えている。また倉本昌弘(65)は体調不良のため欠場。

◇ ◇ ◇

 比嘉勉が、5アンダー67の好スコアをマークして首位に飛び出した。ホールアウト後、自ら切り出したのは「実は日本シニアオープンの2日目にドライバーのヘッドが割れてしまったんです。いまはドライバーの模索中です」という。

 日本シニアオープン(9月17~20日)では第1ラウンド68で3位発進したが、その影響もあって最終的には28位に終わった。この大会まで2週間ほどしかないため「中古のゴルフ店で買ってきました」という。

 6年ほど前のモデルで、割れたのは3本目。メーカーから自分に合うドライバーを取り寄せる時間がなく「中古店だと、自分の目で見て選べるので。ヘッドの感触ですね」と、手になじみやすいと思えるドライバーを2本購入した。「1万5000円と2万5000円。今日は2万5000円の方を使った」という。

 インスタートの10番でティーショットをいきなり左に曲げた。170ヤードほどの第2打をユーティリティで転がして行こうと狙ったところが5メートルに乗り、入ってバーディースタート。「最初で最後のバーディーかなと思ったんですけど、そこからショットも良くなってきました」と振り返る。

 1アンダーで折り返し、1番で2メートル、2番で2.5メートルの連続バーディー。6番パー3で「ダフってアプローチも4メートルぐらいにしかよらなかったのが入って」とパーで切り抜け、7番で10メートルぐらいが入った。

「キャディーさんのおかげです。(ラインが)よく見えないんでキャディーさんの言われた通りに打っているだけです」と笑った。最終9番、2メートルを5つ目のバーディーについては「つけたところも完璧でした」と言い切った。

 首位に飛び出したが、今後の台風による天気が気になるところ。台風の状況は頭に入れている? 「もちろんですよ。みんな気にしているんじゃないですかね。今日明日はできるかなとかですね」。予報は第3ラウンドの土曜日が荒れそうな感じ。それまでに行けるところまで行きたい? 「そうですけど、ゴルフは1日寝ると分からなくなるんで。ただ、ゴルフがいい。ショットとかというよりは、ゴルフがいい」。まだドライバーは信頼し切れていないが、自分の「ゴルフ」は信じられそうな予感はある。

第2ラウンド

シニア8年目で初優勝を掴みたい清水が2位

シニア8年目で初優勝を掴みたい清水が2位

 

「日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ」の第2ラウンドは、首位スタートの比嘉勉(57)が通算8アンダーとして首位を守った。2打差の2位には、清水洋一(57)、中山正芳(52)。4位に通算4アンダーで深堀圭一郎(52)が続く展開となった。明日からの決勝ラウンドには6オーバーまでの58位タイ63名が進出した。

◇ ◇ ◇

 清水洋一(57)が、この日のベストスコア7アンダー65をマークして、通算6アンダーで首位に2打差2位に浮上した。

「ショットが安定していました。距離感も方向もいい」と振り返ったが、「ノリノリ」という訳ではなった。インスタートの前半は首をかしげる連続だった。チャンスを外しまくり、14番で1.5メートルを入れてやっとバーディーが先行したが、15番で2メートル弱のチャンスを外してがっくり。引きずったのか、16番パー3ではロングパットを2.5メートルもショートして3パットボギーと、なかなかエンジンはかからなかった。

 17番で7メートルが入り、18番パー5では第2打を花道まで運んで第3打で50センチにつける連続バーディーから、やっと笑顔が出るようになった。アウトに折り返してからは4番でOKにつけるなど5バーディー。特に上がり2ホール連続バーディーと、第3ラウンドにつながる上がり方をした。

「今日は男性のキャディーさんがついてくれて、最初はラインが合わなかったけど、ちょっとキャディーさんにも聞くようにしたら入るようになってきました」と感謝した。

「久々に内容もいいし、このコースでこんなスコアが出てうれしい」という。一昨年のこの大会、「今でも覚えている」最終日2番ホールで、ラインを読もうとした際に右ひざの内側に激痛が走った。「そのうち痛みが消えたので気にしていなかったんですけど」というが、徐々に悪化していった。かばうようになって、成績も落ち、2017年賞金ランク5位から18年16位、19年33位と下がっていった。

 今オフに検査したところ「右半月板断裂」の診断。「MRIを見たら切れていました。手術とか考えたけど、2月からリハビリというか、周りに筋肉をつけるトレーニングして少し痛みが和らいできて。手術はやっぱり不安だったので…」という。2週前に日本シニアオープンでまた痛みが出てきて、この大会の練習ラウンドの際には足を引きずっていた。「かばう歩き方になって、みんなからも大丈夫かって言われます」という。今はテーピングとサポーターを欠かさない。

 シニア入りして8年目のシーズン。レギュラー時代は実績を残せず、シニアで何とか1勝を目指しているが、これまでチャンスがありながら「悔しい思い、いっぱいありますね」と、あと1歩で届かない試合が何度もあった。

 2打差は2日間あれば十分逆転できる小差。「まだ明日(台風の影響で)できるか分からないので、日曜日が勝負になるかと思います。久しぶりにいいところでプレーできるので、勝ちたいです…もう8年ですもんね、勝っておかないと」。そのためには? 「みんなが協力してくれれば(笑)」。そうじゃなくて。「はい、自分でしっかり伸ばして、つかみ取りたいと思います」。

 けがなどがあると、不思議とゴルフがよくなることも多い。巡ってきたのは、日本タイトルというビッグチャンス。言葉通り、しっかりとつかみたい。

最終ラウンド

中山正芳が清水とのプレーオフを制し初優勝

中山正芳が清水とのプレーオフを制し初優勝

 

「日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ」の最終ラウンド。2位スタートの中山正芳(52)、清水洋一(57)が通算9アンダーで並び、プレーオフに突入。1ホール目をボギーとした清水に対して、パーパットを決めた中山が嬉しいシニアツアー初優勝を遂げた。初日から首位を守っていた比嘉勉(57)は5アンダー4位タイで大会を終えた。

◇ ◇ ◇

 どちらが勝っても、ツアー初優勝が日本タイトル。そんなしびれるプレーオフを制して、中山が通算9アンダーで並んだ清水を1ホール目で破り、レギュラー、シニアを通じて初優勝を公式戦で飾った。

 ともに首位比嘉を2打差で追って通算6アンダーでスタートした。比嘉を含めて最終組はツアー優勝未経験。緊張感漂う中で序盤からチャンスを作るが、パッティングを決めきれずにホールを重ねた。「比嘉ちゃんがあまりよくなかったので、僕と中山のマッチプレーになると思っていた」と清水は言う。

 スコアが動いたのは5番。清水が先にバーディーを奪う。直後の6番で比嘉がボギー。7番で2メートルを決めた中山が、9番でも2メートルを沈めて8アンダーに抜け出す。12番で8アンダーに追いついた清水。比嘉が13番で落として優勝争いから遠ざかる。やはり中山と清水で、マッチプレーの様相になった。

 17番、清水が第1打を左ラフに打ち込み、フェアウェイに打った中山は「勝負と思った」と8番アイアンでコントロールした第2打、3メートルにつけてバーディーを奪い9アンダー、1歩抜けだした。最終18番、第1打は中山が右の斜面のラフ、清水は中央にバンカーに入れた。

中山 “セカンドは5番ウッドで行けると思って持っていったんですけど、練習ラウンドで同じところからチョロした記憶がよみがえってきて刻もうと。メンタル弱いんです。5番アイアンに替えました。”

清水 “今日はティーが前になっていたので、バンカーに届くとは思ったけど、中山が風で右に流されたので、僕も流されてくれと。でも、まっすぐ行ってしまった・・・。”

 2人とも第2打を刻んだが、清水は仕方なく、中山もある意味仕方なく。先に清水が5メートルにつけ、中山は「失敗した」というアプローチがその少し内側。清水が外せば、中山は2パットで勝つ状況で、清水が入れた。土壇場で9アンダーに追いつき、バンザイ。

清水 “プレッシャーをかけたとは思いました”

中山 “プレッシャーはありませんでした。清水さんは百戦錬磨。打つ前に、入れられたらしょうがないと割り切っていました。”

 中山が外した。悔しそうな表情でなかった。笑顔がのぞいた。

 同じ18番で行われたプレーオフ。先に打ったのは中山。正規の18番と同じ右ラフに打ち込んだ。清水は、またドライバーを持った。今度は左に打ったが、傾斜を転がってまたもバンカー。正規の18番と同じに状況になった。違ったのは、中山の選択だった。

中山 “正規の18番より10~15ヤード前に行っていたんです。球は少し沈んでいたけど、ユーティリティーで行けると思った。”

 この選択が功を奏す。ラフから打ちだしたボールはグリーン手前のバンカーを超え、グリーンに転がった。2オンに成功した。フェアウエーに刻んだ清水が今度はプレッシャーを受ける。

清水 “中山は2パットで行く。122ヤード、しっかり打ってと思った分、体が浮いてしまった。情けない。勝負あり、の感じでした。”

 清水の第3打はグリーン右に大きく外れる。「狙うしかなかった」というアプローチはピンを4メートルほどオーバーした。ところがプレッシャーがまた入れ替わる。

中山 “20ヤードぐらいのイーグルパットでした。手が震えて打てなくて。”

 中山は3メートルもショートする。清水が入れ、中山が外すと2ホール目に行く。勝敗の振り子が何度も振れた。清水のパーパットが外れ、ここでやっと、振り子は中山に振れて、止まった。バーディーパットを打ち切れなかったのは「情けない」というが、中山が3パットのパーでシニアプロ日本一の座をつかんだ。

清水 “ホント、チャンスと思ったんですけど。18番でドライバーを2回とも持ったのは、セカンドでいいところから打ちたいと・・・。プレーオフは3番ウッドもあったのかなあ。実は先週、この大会で優勝する夢を見たんです。家族には正夢にするって行ってきたんですけど。やっぱり僕は盛り上げ役なのかなあ。くじけず、優勝を目指していくしかないです。”

 表彰式の音が聞こえてきた。清水は「いいなあ」をポツリ。振り子が自分に止まるまで、挑戦するしかない。

 中山は泣きそうになっていた。優勝インタビューで、一緒に行動して教えを受けている高橋勝成、寺西明の名前が出たとき。「実感がないですけど、うれしいです。あ、泣きそうです。自分が一番びっくりしています。まさか、まさかです」。目をウルウルさせながら、初優勝の気持ちをストレートに伝えた。練習日に高橋から「ショートアイアンをしっかり振るようにしたら」とアドバイスを受けた。「フワッと打つタイプだったので。体幹を使うようにということでした。それが今回、はまったんです。寺西さんからはパッティングでフェースが開くから右ひじを張るようにしたらといわれて。2人には感謝しかありません」という。それでも「2日目、最終日ノーボギー。少しはうまくなったのかな」と笑った。

 東京生まれたが、すぐに北海道の栗山町へ移った。中学時代にはスキーの1級を取り、野球もやっていた。ハンディ2の父に初めて連れて行ってもらったゴルフで「止まっているから易しいと思ったら、ティーアップしたボールを3回空振りした。悔しさから中学卒業後にゴルフの道を選び、内田袈裟彦に師事。千葉に来て、23歳でプロテストに合格した。レギュラーツアーでの実績はない。シニア入りし、同じ北海道の高橋と行動を共にするようになった。

「高橋さんからは、今朝もLINEがきて『自分を信じて頑張れ』と。日本シニアオープンに優勝した寺西さんには『次は中山君だね』と言われていて。2人にはありがとうございますしかありません」。

 優勝を決めたグリーンサイドで、豪快に水をかけて祝福した寺西は「次は高橋さん」と笑った。21日からは70歳の高橋が挑戦する日本プロゴルフゴールドシニア選手権大会が始まる。仲間から3人の日本タイトルホルダーが誕生するかもしれない。

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