2021年度PGA資格認定プロテスト

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2021年度PGA資格認定プロテスト

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2020年

長谷川祥平がトップ合格! 合格者は296ストローク47位タイまでの51名!

通算7アンダーをマークした長谷川祥平がトップ合格

通算7アンダーをマークした長谷川祥平がトップ合格

 

2020年度PGA資格認定プロテスト・最終プロテストは、福岡県・玄海ゴルフクラブ(6,984ード/パー71)で行われ、トップ通過は通算7アンダーをマークした長谷川祥平。最終プロテスト合格は12オーバー296ストローク、47位タイまでの51名となった。

 

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第1ラウンド

技術、精神ともにレベルをあげてきた吉田泰基が首位発進

技術、精神ともにレベルをあげてきた吉田泰基が首位発進

 

 最高気温が23℃に達し、季節外れの暖かい一日となった第1ラウンド。首位には6アンダーで吉田泰基(東広野GC、22歳)、砂川公佑(大阪学院大学、22歳)。1打差の3位に梅山知宏(アイシグリーンシステム、29歳)、2打差の4位タイで富本虎希(大阪学院大学、22歳)、岡田紘希(Saujana golf & country club、23歳)が続いた。

◇ ◇ ◇

 前年、日本大学を卒業し、東広野ゴルフ倶楽部の研修生となった吉田泰基が最終プロテストを初受験。7バーディー・1ボギー65のベストスコアをマークして首位タイの座に就いた。インコースから発進した吉田が10、11番ホールで連続バーディーを奪い、上昇気流に乗った。その後も15、17番ホールでスコアを伸ばし、前半4バーディーで折り返した。後半のアウトコースでも1、2番ホールでバーディーパットをねじ込み、5番ホールでもバーディーを奪う。7アンダーにまでスコアを伸ばしたが、7番ホールでつまずく。「パー3ホールでティーショットをショートし、2打目のアプローチをカップオーバーさせてしまいました。クラブ選択ミスです。結果論ですがロフト55度ではなく、60度のウェッジが正解だったと思います。悔しいです」。

 前週行われたJGTOツアーのファースト・クォリファイングトーナメント(QT)ではトップ通過を果たし、ファイナルQT進出を決めている。この最終プロテストでもその好調さをキープした第1ラウンドとなったようだ。

 前年は同ツアーのサードQTで予選落ちを喫し、日程が重なったことでプロテスト受験を見送った経緯がある。「サードQT落ちで自分のメンタルの弱さを思い知らされました。重圧を跳ね除ける技術力、精神力が不可欠だと…」。一年を掛けてテクニックもメンタルもランクアップさせたという。

 「OBショットや3パットは打たない。無駄なストロークを減らすゴルフを目指して来ました。この最終プロテストでトップ通過したなら日本プロに出られる。それを目標に、3つのパー5ホールでバーディーを奪取し、パー3とパー4ではボギーを打たないゴルフを残り3日間も続けたいです」。明確な目標とゲームプランを携えた吉田は、「ウェッジの縦の距離感を整えることが、ホールアウト後の練習課題です」と話し、ドライビングレンジに向かった。自分のゴルフを客観視できる冷静さが、2日目以降も奏功するはずだ。

第2ラウンド

アジアで活躍中の岡田絃希が66をマークし首位浮上

アジアで活躍中の岡田絃希が66をマークし首位浮上

 

 第2ラウンドは、4位タイ4アンダーからスタートした岡田絃希(Saujana golf & country club、23歳)が2日目ベストスコアタイの66をマークし、通算9アンダーで首位に浮上。2打差の2位タイには吉田泰基(東広野GC、22歳)、梅山知宏(アイシグリーンシステム、29歳)、長谷川祥平(ELECOM、27歳)が続く。

◇ ◇ ◇

 インコース午前8時スタートの1組でラウンドした岡田絃希がこの日のベストスコア66をマーク。通算9アンダーで首位の座に就いた。

 前半は12番ホールでバーディーを奪うと、15番パー5ホールで会心のイーグル奪取を決め、スコアを3つ伸ばしてハーフターン。後半は1、5番ホールでバーディーパットをねじ込んでみせた。だが、8番パー4ホールでドライバーショットにミスが出てしまう。フェアウエイ右サイドに曲げ、2打目はレイアップを強いられた。3打目のアプローチショットを寄せ切れず、パーパットを外す。「寄らず入らずのボギーにしてしまいました」と岡田は苦笑い。それでも自身の最終ホールとなった9番パー4ホールで5メートルのバーディーパットを決め、バウンスバックに成功してホールアウト。前日は5バーディー・1ボギー67でスコア貯金を「4」としていたが、さらに「5」を上乗せすることが出来た。

 岡山県作陽高校2年生の時に、父親の仕事の関係でマレーシアに移り住み、現在は同国のサンウエイ大学に在学しながら、すでにプロ転向しており、アジアンツアーの下部ツアーであるADTツアーやフィリピンツアー、チャイナツアーにも出場している。2019年のJGTOファイナルQTでは180位に入っている。「実は用事があって3月に一時帰国しましたが、その後コロナの影響で戻れなくなってしまいました。そんな時にPGAプロテストの話を友人から聞きました。何かの巡り合わせですよね。プロライセンスも取りたかったこともあり受験を決断しました」。

 現在は、岡山県の備中高原北房カントリー倶楽部のロッジを拠点にし、同倶楽部で練習を重ねている。「居候させてもらっている感じです」と岡田は笑った。

 身長180センチ、体重83キロの体型で、得意クラブはドライバーだという。「飛距離が飛び抜けているわけではありませんが、ショットの高低や球筋を左右にコントロールするのが好きなんです。今回はドライバーショットが普段以上に好調なので助かっています」。安定したドライバーショットに加え、コースマネジメントもうまく噛み合っている。「グリーン周りが特に難しいコースなので、ピンのニアサイドやグリーン奥にだけはボールを打たないように心掛けています。それが、うまく出来ての好スコアなので、残り2日間も同組選手のスコアに惑わされず、自分のプレーに一喜一憂せずにやって行きたいです」。トップ合格で日本プロゴルフ選手権の出場資格を得る。それを手土産にマレーシアへ戻るのが、岡田の目前の目標だ。

第3ラウンド

ベストスコア68をマークした長谷川祥平が首位に並ぶ

ベストスコア68をマークした長谷川祥平が首位に並ぶ

 

 第3ラウンドは、2位タイスタートの長谷川祥平(ELECOM、27歳)が3日目ベストスコアタイ68をマークし、通算10アンダーで岡田絃希(Saujana golf & country club、23歳)と並び首位に浮上。2打差の3位タイには清水大成(日本大学、21歳)、吉田泰基(東広野GC、22歳)が続く。第3ラウンドを終了して、48位タイの221ストロークから10ストローク以内の選手が最終ラウンドへ進出した。

◇ ◇ ◇

 第3ラウンドを迎えて玄海ゴルフクラブがついに牙をむいた。第1、2ラウンドいずれも風速3m/sだったが、この日は朝からホールを取り囲む松林の枝葉が揺れ、ピンフラッグがたなびきっぱなし。時にはピンが弓なりになるほどの強風が吹きつけた。風速7m/s。体感では10m/s以上に感じ、まるで100メートル走を終えたばかりのような強い呼吸をしている風だった。

 コース内を吹き抜ける強風が、選手たちを苦しめる。出場選手114人中、アンダーパースコアをマークしたのは7人。ベストスコア68の「好スコア」でラウンドした長谷川祥平は、通算10アンダーにスコアを伸ばして首位タイにジャンプアップした。

 アウトコース午前8時スタートの第1組目でティーオフした長谷川は、前半4バーディー・ノーボギーで後半9ホールに臨んだ。しかし、10、11番ホールで連続ボギーを叩き、前半の勢いを止めてしまう。風が一段と強まって来たのだ。それでも15、16番ホールでの連続バーディーでスコアを取り戻したが、17番パー3で再びボギーを打ってしまった。6バーディー・3ボギーというスコア内容で、強風下のラウンドを終える。

「確かに前半は良かったのですが、後半は風が徐々に強まりましたよね。アウトコースに比べてインコースはやさしいのにスコアを伸ばし切れませんでした」。少し悔しそうな表情を見せたが、スコア提出後は練習場へ向かうことなく早々に帰り支度を始めていたのだった。「もともと試合中はホールアウト後の練習はほとんどしないタイプなんです。愛用ボールではなく、レンジボールでのショット練習だと、つい良い球を打とうとしてしまう。レンジボール用のスイングになり、それが(愛用ボールを打つ)試合で違和感につながってしまうからです」。

 今回がプロテスト初受験だが、その理由はコロナ禍で様々なスケジュールが変わり、プロテスト日程と自分の日程が合致したためだという。「受けられる日程の時に受験し、プロライセンスを取得しようと思いました」と長谷川。ゴルフの調子は至って好調で、大きなミスをせずにプレーできている。「(明日の最終ラウンドは)パー5の3ホールはツーオンできます。でも、パー3は逆にタフで難しいので、グリーンを外してもパーセーブしやすいエリアにはボールを運びたいですね。4つのパー3ホールでスコアを落とさずに回れば、(トップ合格)チャンスだと思います」。宿泊先ホテルへ向かう長谷川の足取りは、自信に満ち溢れているように見えた。

最終ラウンド

復調したドライバーショットで長谷川祥平がテストトップ合格

復調したドライバーショットで長谷川祥平がテストトップ合格

 

 長く厳しい72ホールの戦いを終え、会場では喜びと悔しさが入り混じった最終ラウンド。テスト合格者は12オーバー296ストローク、47位タイまでの51名となった。首位タイスタートの長谷川祥平(27歳・ELECOM)が通算7アンダーで最終プロテストトップ通過を果たした。

◇ ◇ ◇

 通算10アンダーで首位の座を分け合う長谷川祥平と岡田絃希が、アウトコース午前8時スタートの1番組でティーオフした。

 前日同様に日中は風速7m/s前後の強い風が吹き、好スコアをマークするのは容易ではないコースコンディションとなった。「少しでも上位で合格したいと思っていました。風が強く、厳しいピン位置だったことから、2、3ホールほどプレーした時点でイーブンパーのスコアでもトップ合格できそうだと感じました」。長谷川はこの日のラウンドをそう振り返った。難関の3番パー3ホールをボギーとしてことで、バーディー奪取よりもパーセーブを優先させるマネジメントに切り替えたのだった。

 502ヤードの5番パー4でもボギーを打ったが、残りの4ホールをパーにまとめ、前半を2オーバーとして後半に入った。「アウトコースに比べたならインコースはやさしい」(長谷川)はずだったが、前日同様の強い風だったが、風向きは異なっていた。クラブ選択も迷わされた。「ピンをデッドには狙えるコンディションでなかったことで、バーディーチャンスをあまり作れませんでした。パットの時でも風でラインが変わってしまうことさえありました」。

 岡田とのトップの座を巡る戦いは、17番パー3ホールで明暗を分けた。ピンまで185ヤード。オナーの岡田は風向きをフォローと読み、6番アイアンを選択する。「実際はアゲンストの風向きでした。実力不足です。最終ホールでバーディー奪取を目指したのですが、パーセーブで終わってしまいました」。一方の長谷川は13番パー3ホールでのボギーにとどめ、それ以降の5ホールでパーセーブ。ラウンド序盤で切り替えたマネジメント「パーセーブ最優先」のプレーでフィッシュ。岡田を一打抑え、通算7アンダーでトップ合格を果たしたのだった。

 2015年プロ転向以降、ツアー競技では通算16試合連続の予選落ちを喫していたが、20年9月に開催されたフジサンケイクラシックで初の予選通過を果たしている(最終結果43位タイ)。「アマチュア時代は予選を通過していたんですけどね(苦笑)。プロに転向してからドライバーショットが不安定になってしまい、試行錯誤が続いていました。YouTubeでキウイコーチことマイク・クロセテリアのレッスン動画を見て、直接教えてもらいたいと思い、SNSで連絡を取り、去年から月に1回は指導を受けています。良い方向に向かい、成果が徐々に出始めている。この最終プロテストでも実感できました」。

 長谷川は、すでに日本プロゴルフ選手権の出場資格を予選会で獲得している。それでもトップ合格にこだわるのは「トーナメントではありませんが、何事もトップの座を取るのは難しい」からだ。「一番になれて嬉しいです。これからも課題を一つずつクリアーし、成長して行きたいです」。成績ボードの左最上段に掲げられた自分のネームプレートを指さし、長谷川は頂点に立てたことをじっくり噛みしめ、素直に喜んでいた。

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