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金秀シニア 沖縄オープンゴルフトーナメント20202020年12月4日(金)~5日(土)かねひで喜瀬カントリークラブ

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金秀シニア 沖縄オープンゴルフトーナメント2020

〈金秀シニア・FR〉沖縄が大好き!河村がシニア4年目でつかんだ初優勝


 「念願のシニア4年目での初優勝、しかも最終戦で。嬉しいしかないです」。優勝者インタビューの席に座った河村雅之は、記者から質問を受ける前に、すぐに心の内を言葉にしたのだった。

 

 通算4アンダー首位で迎えた最終ラウンド。2位の白潟英純に2打差をつけていた。前日は雨風が強い中、5バーディー・1ボギーのベストスコア68をマーク。アンダーパースコアで回った選手が5人。その頂点に立ったのだった。

 

 

 前年大会は開幕戦として行われたが、河村は、最終ラウンドでの上がり2ホールで痛恨の連続ボギーを打ち、目前の優勝を手放した。その悔しさを引きずる一年を過ごしている。リベンジを、雪辱を果たしたい。

 

 今年はコロナ禍の影響を受け、大会は最終戦として開催された。河村は、ここまで今季シニアツアー7戦に出場し、序盤戦でベスト3入りを2回果たしている。だが、4戦目の日本シニアオープンで22位タイから30位以内にも入れずにいたのだった。

 

「日本シニアで逆芽のラフからのショットを2度ほど打って、左肘を痛めてしまいました。それ以降、思うようなスイングできず、パットも不振続きだったのです」。

 

 そんな経緯で迎えた「最終戦」金秀シニア。開催週は低気圧の影響を受け、悪天候が続いた。木曜日の練習ラウンド。河村は午後の豪雨予報から、ラウンドをせずにパッティンググリーンでパット修正に時間を費やした。「パターヘッドをまっすぐ振り出せない。左に引っ掛けてしまう」。セットアップを変えてみた。ボール位置を右足寄りにし、ハンドファーストの構えで打ってみた。すると「真っ直ぐ打てたんですよ。これならパットを気持ちよく打てるって直感しました」と河村。

 

 

 翌日の第1ラウンドで新スタイルのパットアドレスを即導入。それが奏功してパット数22。ベストスコア68に結びついたのだ。「ラッキーでしかありませんよ。こんなことが続くとは思えませんよ」。

 

 

 その翌朝スタート前。パッティンググリーン脇に河村がいた。「今日もパットが入りまくると良いですね」と声を掛けた。「そんなことになったらキセキ、奇跡ですよ。寝なかったら良かった? いえいえ、大好きな焼酎をグビグビ飲んで爆睡でした。だから、今日はどうなることやら……ですね」。屈託のない笑顔を浮かべて河村はスタートティーへと向かって行ったのだった。

 

 

 前日とは異なり、強い風は吹いていたものの雨粒は落ちてはいなかった。河村は前日7番ホールからのノーボギーゴルフを継続させ、5番パー5ホールでバーディーを奪取。前半9ホールでスコアを一つ伸ばす。後半に入ってからも安定したゴルフを展開し、14番パー3ホールを迎える。グリーン左手前から池が取り囲む難ホール。「ティーショットで乗ればいいかなと思って打ったら、まあまあ良いところに着いてくれました。14番ホールは嫌です・・・。左の池よりもグリーン奥の池が怖いんですよ、フォローの時は特にね。でも今思えば大会2日間ともバーディーだったのでラッキーでしたね」と河村は振り返った。カラーから8メートルのバーディーパットをねじ込み、通算6アンダーとスコアをさらに伸ばす。

 

 

 それに気を良くしてか、15番パー4ホールではワンピン距離のパーパットをねじ込み、16番パー4ホールでも1.5メートルの入れごろ外しごろのパーパットを決めた。ノーボギーゴルフの継続が、優勝に近づく最善策であることを心に言い聞かせながらのラウンド。雪辱を果たすには、残り2ホールもパーセーブしかない。しかし、雨が降り出し、強まり出した。

 

 

「僕はスライサーなので、雨だと余計にショットが右方向へ行ってしまう。雨だけは降って欲しくないと祈っていたんですけど、結局振り出しましたよね。でも、よく我慢出来ました」。最終18番パー5ホール。パーオンに成功する。2位とは3打差。パットを4回かけて沈めても優勝できる。「今日はノーボギーだと思ったら、油断してしまい、2パット目のウイニングパットは凄く切れてしまって(笑)」河村は3パットのボギーでフィニッシュ。ノーボギーゴルフは29ホール連続で途切れたが、昨年の雪辱を果たすシニア初優勝で最終戦を終えたのだった。

 

 

「ウチの奥さんと二人三脚(キャディ)でシニアツアーを回り、ようやく優勝できました。有難う御座います。やっと夢を叶えてあげられました。僕よりも優勝を待っていてくれましたから。結婚をする前にチャレンジツアーで担いでもらった時に優勝したんですけど、結婚してから全然優勝できなかったので、やっとプレゼント出来ましたね」。

 

 

 念願成就。来季の開幕戦は2戦連続の優勝に挑む。「魔法の打ち方(パットスタイル)は、ずっと良いという訳ではないですが、今のところは合っています。来週も試合があればいいのになぁ」と冗談とも本気とも受け取れるコメントをして、記者たちを笑わせ、インタビュー会見を終わらせたのだった。体中から喜びのオーラを漂わせながら--。

 

 

 

 

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)