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金秀シニア 沖縄オープンゴルフトーナメント20202020年12月4日(金)~5日(土)かねひで喜瀬カントリークラブ

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金秀シニア 沖縄オープンゴルフトーナメント2020

〈金秀シニア・FR〉寺西が2020年シニアツアー賞金王の座に就く


 今季最終戦までもつれ込んだシニア賞金王争いは、寺西明がタイトルを手にして幕を閉じた。賞金ランキング1位の寺西と58万3179円差の賞金ランキング2位・篠崎紀夫は通算5オーバー・20位タイに終わり、優勝の条件付きで逆転シニア賞金王のチャンスがあった同3位・岡茂洋雄は通算3アンダー・2位、同4位・溝口英二は通算6オーバー・26位タイ、同5位・鈴木亨は通算1オーバー・10位フィニッシュ。その結果、寺西が2015年の室田淳以来、5年ぶりに日本人選手としてシニア賞金王に輝いた。

 

 

 今季の寺西は、初のビッグタイトルを二つも奪取した。一つはコロナ禍の中で開催された日本シニアオープンでの優勝。大会4日間、首位を走り続けての完全優勝を機に、視界に入って来たのが、シニア賞金王タイトルだったという。

 

「メジャータイトルが獲れたことで、3年の長期シードも獲得できました。今年はシニアツアーの試合数が減ったことで賞金王タイトル奪取に挑戦したいと思ったのです。ツアー終盤には、(初優勝を飾った)いぶすき白露シニアがあり、得意コース(での試合)が残っていたことも僕には好材料だったからです」。

 

 今季開幕戦からの寺西の成績はISPS HANDA コロナに喝!!シニア4位タイ、プロゴルファー誕生100周年記念 ISPS HANDAコロナに喝! シニア13位タイ、太平洋クラブシニア10位タイ、日本シニアオープン優勝、日本プロシニア選手権11位タイ、コスモヘルスカップ7位タイ。そして、いわさき白露シニア4位タイの成績で賞金ランク1位の座に就き、最終戦を迎えている。

 

「昨年、全英シニアオープンに出場し、刺激を受け、ゴルフに対する考え方や取り組み方がガラリと変わりました。まだまだ努力が足りないと感じたのです」。さらには、世界の舞台でも通用するゴルフが出来るようになりたい。出場できることに喜んでいるのではなく、成績を残したい。頂点に立ちたい。ゴルフに対する向上心は一段と高まり、野心が強まった。

 

「今年のツアーは外国人選手が出場しづらい環境でしたけど、(16年から3年連続シニア賞金王)プラヤド・マークセンの過去の成績と比べてパット数もバーディー数も安定した結果を残せていると思います」と寺西は胸を張ってみせた。

 

 

 来年はシニア賞金王として、日本シニアオープン覇者として全米プロシニア選手権や全英シニアオープンなど世界メジャーの舞台に立つ。「情勢によって(出場が)どうなるのかわかりませんが、出るからには日の丸を背負って行くわけですから、恥ずかしくない結果を残さなければいけないと思っています。このオフはトレーニング方法を再度見直し、ゴルフの接し方も再考します」。

 

 来季は2年連続のシニア賞金王タイトル奪取も懸かる。「タイトル奪取は通過点ですし、ツアー選手を終えて振り返った時、よく頑張ったなと自分を褒めてあげられる。そう思っていないと、さらに前へ進めませんからね。1円でも多く稼いでこそのプロゴルファーですし、その積み重ねが賞金ランキング順位、そしてその頂点が賞金王。僕の師匠である高橋勝成さん(2000年から4年連続シニア賞金王)に近づくのは難しいけれど、それでも少しでも近づきたいんです」。自分に改めて言い聞かせるように、一語一語、言葉を選びながら話す寺西の真摯な受け応えは、2冠の重みを感じてのことだろう。

 

 

 

 そんな弟子のインタビュー風景を傍らで見守っていた師匠・高橋が、ポツリと話した。「(タイトル奪取)良かったです。花を咲かせることができましたね。これからは世界の舞台へ挑み、トップ選手たちから様々な刺激を受け、それを肥やしにして、また成長して欲しいですね」。嬉しそうに笑顔を浮かべてから、急に真顔に変わった。

 

「でもね、賞金王になると成績を落とせない。周りの期待はより高まる。下手なゴルフは出来なくなるんです。(寺西も)そんな地獄の門を叩いてしまいましたね」。怖い表現だが、門を叩く資格(タイトル)を弟子が得たからこそ、そう話したに違いない。

 

「もともとゴルフに対して真摯に向き合っていたので、それほど心配はしていませんが、ゴルファーとして一人の人間として、さらに成長して欲しいです。花が咲いたから実を実らせ、種を作り、そして枯れる。やがて種から芽が出て花を咲かせる。大きな花を咲かせるようにまた頑張るだけなんです」。

 

 今、この瞬間は喜べ、楽しめ、味わえ。しかし、たった1回にタイトル奪取で浮き上がるなよ。4年連続シニア賞金王の実績を持つ師匠は手厳しく、でも、やさしく温かい。お祝いの言葉を陰から、そっと投げかけたのだった。

 

 

 

 

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)