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2022年
長野泰雅がトップ合格! 218ストローク・43位タイまでの51名がプロテスト合格

19歳の長野泰雅が、通算9アンダーでトップ合格!
「2022年度PGA資格認定プロテスト 最終プロテスト」は54ホールで競技成立。北海道の壮大な景観の中で行われた厳しい戦いで、受験生の悲喜する姿が入り混じって見られた。最終プロテスト合格者は5オーバー、218ストローク43位までの51名。首位タイスタートの長野泰雅(19)が68ストロークとスコアを伸ばし、通算9アンダーで最終プロテストトップ通過を果たした。レギュラーツアー3勝をマークしている韓国のI・J・ジャン(49)が通算1アンダー9位フィニッシュ。地元北海道勢では鳥海颯汰(21)が22位につけて合格を果たした。
第1ラウンド

初日63をマークし首位・柴田将弥がロケットスタート
北海道の登別カントリー倶楽部(7,069ヤード/パー71)で行われた「PGA資格認定 最終プロテスト」第1ラウンド。時折雨に降られたが、風も穏やかで、受験生は集中力を高め最初の18ホールを戦い抜いた。初日首位に立ったのは1イーグル6バーディーと流れに乗り8アンダーで首位にたった柴田将弥(26)。3打差の2位タイに八太大和(23)、谷本蓮(26)、長野泰雅(19)が続く。
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「昨年落ちた最終プロテストのリベンジを果たしたいんです」。
第1ラウンドでビックスコアの63ストロークをマークした。内容は1イーグル・6バーディー・ボギーフリーと、会心プレーでトップに躍り出たのは柴田将弥だ。前年の最終プロテストでは「76」と初日スタートダッシュに失敗。2日目「75」3日目「73」と順調にスコアを伸ばす流れにもみえたが、最終日は「73」。合格ラインまで4打差ついてしまった。テスト合格を喜ぶ受験生を目の当たりにし「この悔しさは忘れない」と心に誓った一年だった。
前年とは違って、それほどグリーンは硬くないというのが柴田の実感だった。だからこそ「攻めて伸ばしていきたい」と思いを胸に秘めてスタートを切った。前半からショットが冴えわたった。3番パー3で1メートルを決めてバーディーを先行。4番パー4は142ヤードをピッチングで放ったところ、グリーンカップ手前にピッチマークがついていて、カップを覗くとボールが入っていた。この「イーグル」で柴田は一気に流れに乗った。6、7、9番とバーディーを重ねて、前半で29ストローク。試合で初の20台スコアをマークした。後半は10、17番パー5でバーディーを獲り、終わってみればノーボギー・63ストロークと初日にして大きな貯金を作ることができた。
ボギーが先行しないようにと気を付けてスタートした結果が上手くついてきた。前年の最終プロテストから学んだのは「初日、スタートダッシュが肝心」だということだった。「明日からは気持ち楽にいけます。耐える時は耐える。伸ばせる流れの時にしっかり伸ばせるゴルフがしたい」と目標を見据える。
そして「今回のプロテストで合格を掴んで、お世話になっているセンチュリー・シガ・ゴルフクラブの方々に感謝をしめしたい。そして、ゴルフを始めたきっかけである父にも喜んでもらいたい」とこの好発進をしっかりと生かしたい。
第2ラウンド

46度のウェッジが功を奏し怒涛のベストスコア65で鶴田貴也がトップタイ
第2ラウンドは8月31日、降雨による悪天候の為サスペンデッドが決定。9月1日朝8時15分に競技を再開。通算6アンダーで長野泰雅(19)、柴田将弥(26)、鶴田貴也(26)が首位タイ。第2ラウンドでは濃霧の影響を受け、悪天候のため、最終プロテストは54ホールで競技成立することになった。
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「自分がいちばんびっくりしています」と第2ラウンドホールアウト後、鶴田貴也は率直な感想を口にした。2日にまたがったラウンドを6バーディー・ボギーフリーの65ストローク、26位から首位タイへと一気に順位を上げた。第2ラウンドで60台をマークしたのはたった6名。びっくりしているという言葉の裏側には、きちんとしたコースマネジメントと日々の努力が存在していた。
第2ラウンド(8/31)のスタート時は雨模様。このコースでドライバーを使うと突き抜けてしまうので、本番では使っていなかったが、雨で飛距離も落ちることを想定し、ドライバーを選択したという。2番パー4のティーショットは左の斜面へ。残り140ヤード、4メートル上りスライスラインを読み切りバーディー1つ目。3番パー3は170ヤード8番アイアンでグリーンに乗せ、15メートルがカップイン。4番パー4ティーショットは右ラフへ入り、残り210ヤードを上り手前スライスライン4メートルにつけて3つ目のバーディー。5番パー5は3打目130ヤードを46度ウェッジで奥1.5メートルにつけバーディー奪取。前半は4バーディーで31。後半11番パー5の3打目145ヤードを9番アイアンでピン横3メートルにつけて、さらにスコアを伸ばした。12番グリーン上プレーを目前に、5バーディー・ノーボギーというところで中断のサイレンが鳴った。
翌朝プレー再開(9/1)は12番グリーンから。パーでしのぐホールが続き、17番パー5は3打目130ヤードを46度を使い1.5メートルにつけてバーディー奪取。再開後の目標はパーセーブだったので、確実に1つ伸ばして首位タイまで順位を上げた。「グリーンは読めないし、芝目傾斜が難しい」と登別の印象を持っているが「まずはパーオンを目指したところで結果がついてきた」と安心している様子だ。
「今回は46度と58度のウェッジを用意したのですが、洋芝だと58度は刺さってしまうイメージがあって使わないことにしました。練習からずっと距離感が合ってきた46度を多用しています。今回はパー5でもムリせずにウェッジを使える距離を残してプレーした結果、スコアを作ることができました」とラウンドを振り返り、作戦が功を奏した。
前年のプロテスト2次予選・宍戸CC東Cでは、ティーショットでOB2発を放ちあえなくゲームオーバー。当時はゲームマネジメントを考える余裕がなかったことで敗退したと分析。プロテスト予選敗退の悔しい経験を引きずっていたところ、日体大の後輩から「トレーニングやってみませんか?ゴルフが良くなりますよ」と勧められた。今までまったく触れてこなかったトレーニングというキーワードだったが、物は試しに前年12月からバランス系のトレーニングを続けてみた。手ごたえはわからないまま4か月過ぎた頃、体幹が安定しアイアンの飛距離が伸びてきたなと気付き始めた。
鶴田はゴルフ以前に、長い期間テニスをやっていたので、右肩が強いという。「いまだに右に負荷が掛かっていたりして、身体のバランスが悪いんですよ。テニス歴とゴルフ歴が同じくらいということもあるのですが、ゴルフは(テニスより)俄然面白いので、できるところまで突き詰めてみようと思って、身体のケアも始めたんです」と、元来持つ運動感覚や好奇心を、さらに精度をあげようとしている。首に痛みもあるが、セルフケアとマッサージを行いながら、とにかく最終プロテストを乗り切りたい一心である。
「最終日の目標は得意のウェッジを使って刻み倒すこと。安全ゴルフをする。ハザード(ペナルティ)に入れない。日体大ゴルフ部の同期も、今女子プロテストに挑戦しているので、お互いに良い報告を伝えあいたい」。4連続バーディーという良い流れに乗った鶴田が、このまま最終ラウンドでも活躍することに期待したい。
最終ラウンド

前年1打足らなかった雪辱を晴らした谷本蓮が堂々の3位通過
最終プロテストを66-72-70=208ストロークで通算5アンダーにスコアをまとめ、3位通過を果たした谷本蓮、26歳。前年の最終プロテストでは1打足らずに予選落ちを期した。「あの時の喪失感というか、悔しさは忘れることはありませんでした。スコアボードの前で、ずっと1ストロークの大きさを噛み締めていました」と振り返った。
1ストロークの差を埋めるために、まずは取り組んでいた練習量を倍に増やした。2時間の練習は4時間になった。そして硬いグリーンで練習に励んだ。この一年の間に「ショートゲームやパッティングでは絶対に負けない、今回はスコアは出せる」という自信がついた。前年の雪辱を晴らした堂々のトップ合格を狙っていたが、首位・長野泰雅と4打差をつけられてしまい3位。それでも谷本は上位フィニッシュを目指すという条件はクリアできたので、「一定の満足」は得られたようだ。
谷本は広島県出身。ゴルフ練習の良い環境を求めて、大阪学院大学ゴルフ部に入部した。切磋琢磨できる仲間にも恵まれ、プロへの道を歩み始めた。前年の最終プロテスト受験の結果に、これまでにない絶望感を味わったが、そのおかげで自分のゴルフの技術と精度が格段に上がったことを感じている。「年内のQTファイナルで上位進出をしたい。その先にレギュラーツアー優勝という目標があります」。リベンジを果たした最終プロテスト合格を喜んだのもつかの間。谷本は怯むことなく、新しい目標に向かって早くも気持ちを切り替えたのだった。